抱えた闇は知っている Ｆirst,Story

22＊養子縁組仲間 ページ27

［SIDE:A.T］


「あの…。

　彩ちゃんと一緒に来るって言ってた子は…」

七海さんが不安そうに道路を見る。

「裕也君ですか？

　あの子、写真を忘れたって戻って…。

　遅れてるんです。」

裕也？

誰なんだろう。

「あの、裕也君って？」

由利さんの顔を覗き込むと、

“あら、言ってなかったかしら”と口を開いた。

「そのこも養子なの。

　貴方とおなじ家庭環境でね。

　しかも、同じ中1だから。

　分かり合えると思うわ。」

男の子…。

中1…。

そのキーワードでkzのみんなを思い出してしまう。

でも、もう“退団”したんだから。

「あ、来たわよ。

　うわさの裕也君。」

車から降りてきたその子は、

どこかkzのみんなと似ていた。

若武と似ている大きな瞳。

上杉君に似ているスラッとした足。

黒木君に似ている少し長い髪。

小塚君に似て優しそうなオーラ。

翼に似ているサラサラな髪。

全員のいいとこ取りをしたような子だった。

一言で言えば、“イケメン”だ。

「裕也ですっ。

　宜しくお願いしますっ。」

少しペコッと頭を下げる仕草もかっこ良かった。

思わず見とれていると睨まれた。

「あんまりこっちみんじゃねぇ。」

痛っ。

裕也君は私にいわゆるデコピンをした。

優しいのか、意地悪なのか。

でも、一緒にいて楽しそうな相手だった。

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