13話 ページ14
次に久部くんに会ったときの第一声は「小鳥遊さんの言う通りでした」だった。
「なんか、二人で秘密裏に事件の内容調べてただけみたいで」
「ああ、色々とゴタゴタがあったやつですか。久部くんも大変でしたねー」
「俺は…全然…」
以前、神倉さんが慌てていたのも、最近げっそりしていたのもそれ関連だと聞いて納得した今日この頃。補助金審査前なのに！と悲鳴じみた愚痴を零す神倉さんは同情に値するほど疲れていた。
「まあ、中堂さんの家まで顕微鏡をこそこそ運んだり、目の前で人が刺されたりしたのは、あれでしたけど…」
「顕微鏡をこそこそ…始末書を処理するのはこっちなので悪事はばらさないでくださいね……って、今なんて言いました？」
「え？」
「中堂さんの家って、いま」
私が鬼気迫る勢いで詰め寄ると、久部くんがたどたどしく中堂さんの家であったことについて話し始める。
「そ、そんな、中堂さんのお家でお泊まり会なんて楽しそうなこと…どうして呼んでくれなかったんですか！」
「いや、だから、事件についての調査で…」
「中堂さんの家、私だって行ってみたかった…！嗅いでみたかった…！！」
「嗅いで…？」
「久部くん、恨みます…！」
「ええっ」
私が久部くんの肩を掴んでがくがく揺さぶっていると、通りかかった三澄さんと東海林さんが「何やってんの」と半笑いで話しかけてくる。
「二人とも！酷いじゃないですか！中堂さんの家でお泊まり会するなら呼んでくださいよ！」
「お泊まり会…？…ああ、あれは成り行きというか…ああせざるを得なかったというか…」
「中堂さんの家、なーんにもなかったわよ」
「行きたかった〜！」
私がわんわん泣き真似をしていると、三澄さんと東海林さんが撫でてくれる。「もうここまでくれば押しかけ女房すればいいじゃない」とかなんとか、東海林さんの適当なアドバイスにその気になっていると、タイミングが良く(悪く？)中堂さんが通りかかる。
「…死んでも来るな」
「し、死んでもですか」
「死んでもだ」
きっぱりと言い切ると、中堂さんは私に目もくれずスタスタと歩いていってしまう。あちゃー、という空気が流れたが、私は一人爛々と目を輝かせていた。
「あれは裏を返すといつでも来ていいよという…？」
「なぜ裏を返した」
「額面通りに言葉を受け取らない、これ鉄壁メンタルの基本です」
「さすがA大先生」
ぱちぱちと、お世辞の拍手が廊下に響いた。
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みーこ(プロフ) - アンナチュラル再熱して、読みにきました。素敵な作品をありがとうございます！更新お待ちしております。 (2022年5月30日 22時) (
レス) @page21 id: 71713ba9a2 (このIDを非表示/違反報告)
EL(プロフ) - 最高です。続き楽しみにしてます！ (2020年10月18日 21時) (レス) id: 7933e3d246 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - すごく面白かったです！アンナチュラルの小説がほとんど更新されない中で嬉しい！楽しみに待ってます！ (2020年8月27日 15時) (レス) id: 8dbc6350e1 (このIDを非表示/違反報告)
魚介(プロフ) - 更新待ってましたー！！ (2020年8月18日 22時) (レス) id: 80be786faf (このIDを非表示/違反報告)
伽耶 - わぁぁあ！更新待ってましたー！このお話すごい好きすぎて辛い (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5ddf7785a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ことは | 作成日時：2020年8月12日 16時
