嘘266 ページ6
「こんな恐ろしい状況で目覚めちゃうとはアンラッキーだったね。あ！ でも綱吉クンの場合中学生になってから不運の連続か〜、君のことはよく知ってるんだよ。
君は勉強も運動もダメで不登校なただの中学生だったのに
ある日突然すご腕の殺し屋がやってきて巨大マフィアのボス候補だと告げられ恐ろしい裏社会に放り込まれてしまう。
そこからは命がけだ、争い事なんて大嫌いなのに抗争やらボスの座の争奪戦に巻き込まれちゃうんだからね。
そして最大の不運はこの時代に来ちゃったことだよねー。
こんなところに連れてこられなければこんなひどい目に遭わなかったって、自分の運命を呪っちゃうだろ？んね♪」
笑顔で、完全に綱吉を壊す気なのだろう。白蘭はあえて綱吉に問うように言った。
綱吉は俯いていたが、突然その口を開く。
「いいや…それは、少し…ちがう気がする…」
白蘭の言葉を、否定した。震えながら。
逃げたってきっと誰も咎めない。彼を責めるのなんて彼の家庭教師だけだろうに。それでも綱吉は、白蘭の言葉を否定した。
「…そりゃ確かに、未来は恐くて…痛くて…不安ばかりで心から嬉しかった時間なんてほんのちょっとだったけど…今なら…今なら少し、分かってきた気がするんだ」
手に、力を込めたのがわかった。綱吉は、恐怖の中話す。
相変わらず体は震えていてみっともないけど。
「いいとか悪いとかじゃない…
それは私たちの心に響いた。
そう、その通りだ。現に私もこの時代に救われた。この時代にこなければ、永遠に答えが出なかったかもしれない。毎日、明日が来なければいいと思い続けたかもしれない。
私にとっても、とても大事な時間。
「へー、君は変わった物の捉え方をするねー。でもよーく考えてほしいな。
殺されちゃったら、そんなの負け惜しみだよ♪」
白蘭がリングに炎を灯す。
外から獄寺が嵐の炎を放つが、結界に跳ね返される。
「んん、そーだなあ。今の綱吉クンなら、このミニ白龍を心臓に一突きすれば充分♪」
「ひいっ。ま、まって！！」
「またないっ」
「…綱吉！っ…！！」
駆け寄ろうとするも、足が折れているためそのまま地面に伏してしまう。
その間に、白蘭の持っていたミニ白龍が綱吉に刺さった。
スローモーションのように倒れる綱吉。
口の中に砂利の味が広がり、ぺっと吐き出す。
「これで君達の救世主はそこの神様だけだ」
立て、立て綱吉…！お願いだから、立って！！
＿＿＿＿「いっ…いってー！！」
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作者名：白黒箱 | 作成日時：2018年9月7日 16時
