嘘274 ページ14
「どういうことだ！？」
「そうだよ琴平さん！ 現に目の前で2人は…」
その先を言いたくなかったのか、綱吉は途中で言うのをやめてじっとこちらを見た。そうだけど、とその言葉に返事をして説明をする。
「2人が死ぬ前に、私は少量の樹氷の炎を2人に供給したんだ。樹氷の炎の性質の【結合】で大空と雷の炎に溶かすことによって。
命の炎が尽きるっていうのはそのまま死を意味するよ。けど私が供給することによってそれは防がれたんだ。ギリギリの状態で」
「っそれなら2人は今どこに！！」
「……しばらくは会えない」
野猿、だっただろうか。彼が今にも噛みつきそうな勢いでなんでだと叫ぶ。それを自身の兄に止められてはいるが彼も同じような目をしていた。それを見つめ返して話を続ける。
「死なないために器を形成して、炎を回復させる必要があるから。今は仮死状態…それが一番合う言葉だろうね。炎を回復するにはそれ相当の時間が必要になる。最低でも、3年はかかるよ」
「そんなにっ…」
「ごめんなさい、私の力不足だ。けどどうか、2人が戻ってきたら迎え入れてほしい」
小さく、頭を下げた。
誰かの息の呑む音が聞こえ、そして次にありがとうの言葉が聞こえた。ハッとして思わず顔を上げれば、笑顔が見えて。それに私はどうしようもなく泣きたくなった。
誰かに感謝を述べられるのが、すごく嬉しくて。
それを堪えるように私も笑った。
「ちょ、ちょっとゴメンよ。水をさすつもりはないんだが…そんな時空の法則を無視したことが起こりうるのかな…。計算が合うのかな？なんて…」
「愚か者め、トゥリニセッテの起こす現象は人知を遥かに超えているのだ。人間がコンピューターでピコピコ計算している内は答え合わせなど無意味なのだよ。トゥリニセッテを語るに限っては現在の持ち合わせる言葉では【奇跡】か【何者かの意思】がいまだ適当なのだ」
「は、はあ…」
アルコバレーノ、ヴェルデ。科学者というだけあって信じていないと思っていたが。…自身が赤ん坊になればそりゃあ信じるよね。
アルコバレーノから十分な説明を受けた綱吉は、みんなに名前を呼ばれて頷いた。
その顔に笑みを浮かべて。
＿＿＿＿「過去へ帰ろう！！」
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作者名：白黒箱 | 作成日時：2018年9月7日 16時
