嘘294 ページ16
「わわっ！ お野菜いっぱい…！」
「ちょ、ニアン早い！」
「子供みたいに目きらっきらさせてるっすよ…」
作業がひと段落し、窓の外を見て急に図書室を飛び出したニアンを追いかければこれだ。
よっ、と山本に挨拶をされて軽く返す。周りを見れば綱吉に古里、京子やハル達もいた。何故か野菜の着ぐるみを着ている。どうやらニアンが見つけたのはこれのようで、ランボとイーピンを抱き上げて頬を擦り寄せていた。
それを呆れながら望結と見て、その中に日菜くんがいることに気づいた。視線を彷徨わせて最終的に小さく頭を下げた彼に私も頭を下げる。
「…で、何してんの？」
「薫のためにみんなで頑張ってたんだ」
「へぇ…」
頑張ってコスプレすんの？あんたらは。
どういう状況か全く飲み込めないが、まあ良いかと笑う。ニアンも嬉しそうだし…それでいっか。
ちょうどお昼時、というのもあってかハル達がお弁当を作ってきていたようだ。それにあ、と声を上げる。
「…お弁当忘れた」
「え！？ 珍しいっすね？ いつも忘れないじゃないっすか」
「僕のお弁当、半分こする？」
「いや作ったの紹巴っすけどね」
一種のコントとも受け取れる会話をする二人。
遠慮なく頂こう、という話になり着ぐるみの撤収を手伝う。中にはうちの演劇部から借りたものもあるらしい。
「…僕、海先輩もお昼誘ってきますね」
「いいね！ Aさんもいい？」
「……」
「ひっ」
「あー、今ちょっとAさんアウトなんすよねえ」
「…呼び、いった」
「はっや！！！」
「帰る」
「ちょ、待つっすよ！」
身を翻せば望結に呼び止められ、ぐぐぐとお互いに体に力を入れる。そのせいか私は前に進めない。
綱吉が不思議そうな顔でこちらを見ている。それにニアンが気づいて私と兄さんが喧嘩中、と少し首を傾げて言った。それに違う、と大声を荒げる。
「先に食べてていいっすよ！ ほらっ、Aさんみっともないっす。いい加減…」
「お前ら何してんだ？」
「やっほーAちゃん胸育ったー？」
「ちっ」
「…タイミングすっげ」
いつもの敬語と言えるかわからない口調を外して言う望結。呆れたような視線を兄さんが私に向け、目が合う。それから逃げ、遠山さんの足を軽く蹴った。
「いった！？ 俺今日まだ転んでないのに！」
「相変わらず変な体質ですね。
「ねー…。不幸になっても決して幸運にはなれないのが本当にさぁ」
嫌になる、と目を伏せて笑う遠山さん。
まあ私にはどうもできないけど、さ。
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らるる(プロフ) - 今更感ありますが、もし今見てくださってる方いましたらこちらリメイク版になります。コピペでリンク飛んだら見れると思います（本人です）。https://uranai.nosv.org/u.php/novel/midora/?fr=first_url (1月26日 20時) (
レス) id: 1ae450fb21 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの。(プロフ) - 長い間更新していない様ですが、とても続きが気になるので再開してくださる事を心より楽しみにしています。応援しています。 (2019年8月21日 1時) (レス) id: 8b53c3fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白黒箱 | 作成日時：2018年11月17日 17時
