死にたがりとテヒョン (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:9,139 hit

3 ページ3

.

「話聞きたいんですけど。」
「……話すことなんて何もないよ。今の俺見ろって。一般人以下。輝かしい君たちが相手にするような男じゃねーよ。オジサン誑かさないで。」
「好きです。」
「やめてって。」
「俺貴方に曲を書いてほしくてアイドルやろうって思って、」
「やめろッ！！」

世界１のイケメンなんだっけ。コイツ。すげー整ってる。確かテヒョンだか、なんだか。整形男の俺とは大違いだわ。

「明日もコンサートあるんだろ。離せって。」
「これ俺の連絡さ」
「いらねーから。」

渡された紙を放り投げる。宙に舞う紙を見て、申し訳ないことをしたと思う。でも止められなかった。こいつ等は見てるだけで心臓が痛くなる。早くこの場から逃げ出したい。

「俺は貴方がどんな風になっていても話せてよかったと思っています。そのためにこの世界に入ったから。この世界に入らなかったら日本に来ていなかったから。今日話せたからアイドルになってよかったと思っています。」
「やめろって……、」

涙が止まらない。捕まれた手首に付いた痛々しい跡を見られたくないと思った。離されない腕に、諦めて居酒屋に入った。

「死のうとしたんですか？」
「したよ。」
「いつですか。」
「毎日。でもさ、死のうとすると心臓に入れられたパッチが鳴って、親から連絡が来るんだ。もういやだぜ。この歳にして親にいろんな責任の手綱持たれてんの。死なせてくんねーの。」

笑ったら無言になられた。

「なんであんなことになったんですか？」
「女抱くの逃げたら次の日には芸能人生終わってた。ウケるよね。」
「……枕営業。」
「させられたことある？」
「俺は、ないですけど、」
「まぁ、時代が違うよね。できない俺が悪かったんだよ。今考えれば、デブでもブスでも抱けなきゃ捨てられるって、天狗になってて気が付かなかった。今なら男でも抱けるよ。60のババアだって抱ける。」
「やめてくださいよ。」
「聞きたいって言ったのお前じゃん。」

イケメンな顔にまゆ寄せて困らせた。

.