◇１６２話◇ ページ40
◇
音無「さぁ！皆バスに乗って！忘れ物の無いようにね」
長いようで短い合宿が、今終わる。
自分の荷物を手に、バスに乗り込む足をふと躊躇う。
終わってしまうんだ。
このサッカー部との時間も。
A「・・・・」
やよい「Aちゃん・・・？」
背後から名前を呼ばれてはっと我に返る。
その後はガヤガヤと急かされる様にバスに乗り込んで、合宿場を去った。
窓の外を覆う一面の雪景色も
段々と鼠色のコンクリートばかりの景色に変わって
そうしたらなんだか夢から覚めたみたいに一層現実を感じた。
４人を同時に選んできた私は
たったの２つ。
母と今の居場所。
たったの２つを選べないことが苦しくて、悲しくて、
それは雪に降られながら泣き喘ぐほどに。
そうして初めて、自分の弱さを知った。
私は結局、何も変わってない。
現状に甘え、都合の悪い変化を嫌って。
愛してくれる人を愛し、嫌う人を嫌った。
私は何も変わってないのに、
どうして母との再会を一瞬躊躇うほどに
今これほど幸せなのか。
浜野「Aの番だよー！」
倉間「ドローツー出してやれよ」
南沢「残念だったな倉間ァ！実は俺もドローツー持っている…！」
速水「あっさり手の内明かしましたね」
そんなの考えずとも、すぐにわかる。
こうしてバスの一番後ろで、
５人並んで座ってウノして遊ぶ時間の、
君たちの温かな声と表情が、
静かに私の心を溶かしてくれたから。
愛されたから、そうなのかもしれない。
それでも初めて自分で、
愛したい
そう思えた４人だから。
速水「実は俺も持ってます」
浜野「俺もー！」
倉間「俺も出せるぞ」
南沢「えっ・・・」
もう甘えるのは、最後にするから。
A「あ・・・私、もう１枚ありました、ドローツー」
南沢「・・・・・」
だからもう少し、
浜野「Aナイス！」
速水「いいチームワークでした」
倉間「これで南沢さんのドベは決まりだな」
南沢「あああああああああああああ」
もう少しだけ、
◇
音無「あら、なんだか静かになりましたね」
葵「皆疲れて寝ちゃってますね」
やよい「あれ・・・・？」
音無「ふふっ・・・本当に仲良しね。
くっついて寄り掛かって、皆で手まで繋いじゃって」
この静かな愛を、感じさせて。
◇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫宮 - あかん最終回じゃないのに泣ける (2019年11月8日 18時) (
レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
浜野鶴正 - わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁめっちゃ好きです更新頑張って下さい(*^^*)あなたのファンです！ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 76900bd172 (このIDを非表示/違反報告)
基山ヒロト南沢豪炎寺メープルあんりアシーネ\(//∇//)\ - あぁ〜。続編が気になります\(//∇//)\更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2018年7月15日 22時) (レス) id: b569ca4662 (このIDを非表示/違反報告)
魔燐 - 更新頑張って下さいね！ (2017年4月29日 21時) (レス) id: a9bc66a4cb (このIDを非表示/違反報告)
桜桃(プロフ) - お帰りなさい！私も更新しないと、、って思います、、けどなかなかヤル気が、、、 (2016年12月7日 20時) (レス) id: c71001c0b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：照沢鴎 | 作成日時：2013年11月5日 20時
