◇１５９話◇ ページ36
きっと私はアメリカに行くんだろう。
私はお母さんに会って、新しい生活を始めてから、
学校からか、宇月さんからかは分からないけど、
私じゃない誰かから私の事を知らされて、
４人と初めてお別れするんだろう。
それは静かで、静かなお別れ。
４人はきっと泣いてくれる。
こんな私に怒ってくれて、惜しんでくれる。
永遠の別れになるわけじゃない。
だけど、
倉間くんは、私と来年も身長を競いたかったはずだ。
浜野くんは、私をまた釣りに連れて行ってくれるつもりだったはずだ。
速水くんは、私にもっと三国志の知識を語りたかったはずだ。
南沢さんは、私に高校へ進むため背中を押してほしかったはずだ。
自惚れ、だろうか。
だけど分かる。
人の気持ちなんて、複雑なように見えてわかりやすい。
裏だって所詮隠れているだけで、
ひっくり返してみれば丸見えなのだ。
隠し事なんて誰も出来てない。
当たり障りない事で、何度も感動して。
らしくなく嫉妬もした。
突然たっぷりに注がれた愛情に戸惑った。
でも、
お姫様になったみたいで嬉しかった。
難しい言葉で表現しても仕方ない。
つまりそういう事だった。
父親に暴力を振るわれ、
母親に置いて行かれ、
友達も一人も出来なくて、
孤独を感じていた。
それが突然、世界が変わって、
優しく抱き締めてもらって、
手を引っ張って行ってもらって、
仲間や友達に囲まれて、
満たされていると感じたから。
欲しかったものが、手に入ったから。
だから、
嬉しくて嬉しくて、
A「・・・手放したくない、・・」
そう思ってしまうんだ。
胸に熱くこみあげてくるもの感じて、
膝から崩れ落ちるように、
その場に座り込んだ。
さっきまでの静かな涙はもう流れない。
ぼろぼろと大粒の涙が、拭っても拭っても溢れて止まらない。
最後まで迷って、本当に情けない。
何度も泣いた。
なのに、まだ流してない涙があったことを
今さっき自覚したばかりなのに。
静かに積もる雪の中に、
極力控えた嗚咽が吸い込まれ、微かに響く。
両手で顔を覆って、涙と鼻水を荒っぽく拭う。
顔はもうぐちゃぐちゃ。
冷たい廊下に決して厚着とは言えない恰好で、
冷静に寒さを感じ始めた。
それでも汚れた顔だけが、熱い。
熱くて、寒くて、
辛くて、死んでしまいそう。
◇
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猫宮 - あかん最終回じゃないのに泣ける (2019年11月8日 18時) (
レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
浜野鶴正 - わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁめっちゃ好きです更新頑張って下さい(*^^*)あなたのファンです！ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 76900bd172 (このIDを非表示/違反報告)
基山ヒロト南沢豪炎寺メープルあんりアシーネ\(//∇//)\ - あぁ〜。続編が気になります\(//∇//)\更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2018年7月15日 22時) (レス) id: b569ca4662 (このIDを非表示/違反報告)
魔燐 - 更新頑張って下さいね！ (2017年4月29日 21時) (レス) id: a9bc66a4cb (このIDを非表示/違反報告)
桜桃(プロフ) - お帰りなさい！私も更新しないと、、って思います、、けどなかなかヤル気が、、、 (2016年12月7日 20時) (レス) id: c71001c0b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：照沢鴎 | 作成日時：2013年11月5日 20時
