◇１５７話◇ ページ34
◇
一方その頃女子部屋では、
音無「それじゃあ皆おやすみなさい」
パチ、と音が鳴り部屋が暗くなる。
音無先生が布団に入れば部屋は静まり返り、
涼しげな静寂が訪れる。
だんだん暗闇に目が慣れ、改めて広い部屋を見渡す。
少し首を動かせば、微かに枕と頭の擦れる音がして、
窓の外、青白い月明かりを反射する銀色の積雪に目を奪われる。
奥に見える日本独特の庭園。
アメリカに旅立てばしばらく拝むことはなくなるだろう。
今のうちに目に焼き付けておかなければ。
今日も随分働いた気がする。
それでも不思議と、眠くなかった。
なんだか今、このまま寝てしまうのは惜しいような気がした。
それでも明日のことを思い、無理矢理目を閉じる。
瞼の裏に浮かび上がるのは、不思議と不動さんだった。
不動さんは私と一緒にアメリカへ渡り、
また共に生活してくれるらしい。
お母さんもそれを望んでいるらしい。
きっとすぐに、元のような関係には戻れない。
それどころか、私自身母親とどう接していたか思い出せない。
何せもう、５年以上会っていない。
お母さんはどうやら本当に私の前から消えたかったらしい、
たくさん撮ったはずの写真も、一枚も残っていなかった。
顔すらもう、はっきりとは覚えていない。
それでも、
以前の、
４人に会う前の私ならきっと、迷わず会いに行っただろう。
何故なら失うものが何もないから。
孤独とまではいかないかもしれない。
それでもあの頃の生活に私の居場所などなかった。
記憶の中では確かに愛してる、
そんな母に会えるなら、そちらを選ぶのは極めて自然な事。
しかし私には、出来てしまったのだ。
今を過ごす毎日に、確かな居場所を。
それは静かでちっぽけな、
傍から見れば何の力も持たない関わりかもしれない。
それでも私からすればそれは
温かくて優しくて、キラキラして確かに色づいて見えた。
布団の中でぎゅっと手を握りしめる。
迷っている。
そう、まだ決断したわけではない。
まだ、決断できない。
ゆっくり目を開ける。
どうしても眠れない。
微かに聞こえる寝息を察して、
慎重に、こっそりと布団を行け出し部屋を出た。
◇
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猫宮 - あかん最終回じゃないのに泣ける (2019年11月8日 18時) (
レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
浜野鶴正 - わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁめっちゃ好きです更新頑張って下さい(*^^*)あなたのファンです！ (2018年8月1日 12時) (レス) id: 76900bd172 (このIDを非表示/違反報告)
基山ヒロト南沢豪炎寺メープルあんりアシーネ\(//∇//)\ - あぁ〜。続編が気になります\(//∇//)\更新頑張ってください(*≧∀≦*) (2018年7月15日 22時) (レス) id: b569ca4662 (このIDを非表示/違反報告)
魔燐 - 更新頑張って下さいね！ (2017年4月29日 21時) (レス) id: a9bc66a4cb (このIDを非表示/違反報告)
桜桃(プロフ) - お帰りなさい！私も更新しないと、、って思います、、けどなかなかヤル気が、、、 (2016年12月7日 20時) (レス) id: c71001c0b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：照沢鴎 | 作成日時：2013年11月5日 20時
