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ミツの寝顔を見ながら、これからどうしようと考える。
出会ってからずっと伝えられなかった気持ちを、今更伝えて何か変わるのだろうか。
ミツは、何を思ってこんなことをしたんだろう。
ミツが考えていることが、全くわからなくて、不安で目を閉じることができない。
でも、いくら考えても、やっぱり愛しいと思う。
ミツじゃなかったら、こんなこと絶対に許せないけど、
ミツだから、許してしまう。
また泣きそうになってきて、これ以上一緒にいることができずに、時計を確認して、身支度をした。
黙って出て行こうかと思ったけど、鍵を閉められないことに気付いて、仕方なくミツに声をかける。
「ミツ、わたし帰るから」
まだ眠ってから1時間もたっていないからか、ミツは身じろぐだけで、起き上がる気配がない。
何度か声をかけてみるものの、ミツの様子が変わらないことを悟って、玄関に向かう。
ドアに手をかけた時、突然後ろから腕を引かれた。キスをされていると気付いたのは、唇が離れてからだった。
「何で勝手に出ていくんだよ」
ミツはわたしの腕を掴んだまま、眠そうに目を擦る。
「…帰るって、言ったよ」
気を抜いたら涙が出てしまいそうで、わたしはミツの顔を見ることができずに、俯いた。
「まだAにすきだって言ってねぇ」
その瞬間、ミツに抱きしめられて、ついに我慢できずに涙がこぼれた。
泣きじゃくるわたしを宥めるように、ミツが背中をさすってくれるから、泣き止みたいけど無理だった。
「順番間違えてごめん」
そう言って、ミツが体を離して、わたしの目をじっと見つめる。
いつになく真剣な眼差しを向けられて、心臓が跳ねるのを感じた。
「A、すきだよ」
ずっとわたしを支配していたどうにもならない感情がとけていくのを感じながら、わたしはようやくミツを抱きしめ返すことができた。
背中に回した腕に力を込めながら、わたしもすきだよと伝えると、息が苦しくなるくらいの力で抱きしめられて、うれしくてたまらなくなる。
ミツが一緒に寝ようと言うから、さっき履いたばかりの靴を脱いで、ベッドに戻った。
起きたら、ミツにきちんとわたしの気持ちを伝えよう。10年分のわたしの気持ちを、他の誰でもなく、ミツに聞いてほしい。
何から話そうと考えながら、ミツの腕の中で、目を閉じた。
end.
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作者名:なー | 作成日時:2021年10月2日 15時