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「てか、お前なんでこんないい肉と酒持ってたの?」
「あー…今日誕生日で。ちょっと奮発しちゃいました」
「は?お前、本当そういうことは早く言えよ!」


クソ、食っちまった、と北山さんはぶつぶつ言っているけど、わたしはむしろ北山さんにお礼ができてよかったです、と伝えた。

本当は1人で過ごすだったのに、北山さんが美味しいって食べてくれて、話しながら笑って飲んで、こんな楽しい1日になるなんて思ってなかった。
北山さんにとってはなんてことない1日だったとしても、わたしの今日は、とても特別な日になった。
遠くから見てるだけだったのに、北山さんが優しいことも、肉がすきなことも、運転する姿がかっこいいことも、歌が上手いことも、会社で会うだけでは知り得ないことをたくさん知った。
わたしは、今年の誕生日をたぶん一生忘れない。


「一木」
「はい?」
「誕生日おめでとう」

北山さんが、わたしの顔をまっすぐに見つめて、真剣な顔で言う。
もう何度も人生で言われた言葉だけど、北山さんに言われたら、何だかとても特別な言葉のように思えた。
ありがとうございます、と返したわたしの声は少し震えてしまったかもしれない。
北山さんに、誕生日を祝ってもらえることがうれしかった。
アルコールも手伝って、感情にブレーキがかからずに、涙が溢れてくる。
北山さんは、泣くなよって呆れながら、わたしの背中を撫でてくれる。
その手があまりにも優しくて、わたしは北山さんのことがとてもすきだと思った。








そして、それ以来わたしの誕生日は、北山さんがわたしにとてもいいお肉を食べさせてくれる日になった。

あれから、北山さんのことをたくさん知って、時折ケンカもしながら、特別な日もそうでない日も、隣で毎日を過ごしている。

北山さんは、あの日と同じように真剣な顔をして、今年もわたしに誕生日おめでとうと言ってくれる。

それだけで、わたしは生まれてきた意味を感じて、やっぱりこの人のことをとてもすきだと思っている。





end.

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設定タグ:北山宏光 , Kis-My-Ft2
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作者名:なー | 作成日時:2021年10月2日 15時

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