10.常連さん ページ10
キヨside
「よ、Aちゃん」
「また、来てくれたんだキヨくん」
Aちゃんに出会ってから、彼女がバイトの日はほとんどこのカフェに足を運ばせてる。
それだからか、俺がここへ来ると毎回笑顔でAちゃんが接客してくれて、なんだか距離が近くなったように感じるけど、それは俺の思い込みなのだろうか。
「じゃあキヨくん、ごゆっくり」
俺がたまたまこの店で雨宿りしてなかったら俺たちは出会ってなかったわけで、運命って本当にあるんだなと改めて思う。
「お客様、ご注文をお伺い致します」
「あ、んーっとじゃあ。このタルトとコーヒーで」
Aちゃんにケーキはたまに私が作ってるんだよ、て聞いてから来るたびに種類の違うケーキとコーヒーを頼むようにしている。
けど、コーヒーはAちゃんのいる前でしか飲めない。
大人ぶってミルクと砂糖を少ししか入れないで飲むほぼブラックなコーヒーは元から叫ぶほど嫌いな飲み物なだけあってまだ苦手だから。
だけど、甘ったるいものなんて飲んでAちゃんに子供扱いされるのも嫌だ。
「…何も頼まなくても会いに来れるようになればいいんだけどな。」
このカフェも勿論好きだけど、Aちゃんの笑顔を見て、たくさん話せたら俺はそれで十分だし、腹いっぱいだ。
常連さんなんて、Aちゃんには言われるけどそろそろ気づいてもいいんじゃねーか？
「キヨくん、タルトもうちょっと待ってね」
「ん」
俺が座ってるこのカウンター席。
雨宿りの時から座ってる奥から二番目の席。
カウンターの向こうでコーヒーを入れたり、作業をしている彼女と向き合うように座れるから結構気に入っている。
前に、俺がこの席好きだわってAちゃんに言ったら、彼女はじゃあキヨくん専用だねって子供みたいな顔で無邪気に笑っていた。
「ねぇ、Aちゃん」
「ん？」
「…なんでもない」
もう、キヨくん。なんて口を膨らますようにして俺を見るAちゃんは、相変わらず可愛くて、今は少し怒ってるけど、でもどこか優しくて、前ご飯に行った時は俺と同い年って聞いたのに、表情とか、仕草とか、
俺より年下なんじゃないかってくらいに、ほっとけないところとか。
ねぇ、Aちゃん。
"好き"
彼女にこの2文字が言えたらどれだけ楽なんだろうな。
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鳩ポッポ(プロフ) - 会社の休み時間に見ていたのですが、内容はもちろんのこと文章の書き方や表現がとても好きです！ドキドキしてしまって、平常心で仕事ができなさそうなので帰ってからじっくり読ませていただきます。とても素敵だったのでつい途中でコメントしてしまいました… (2018年3月22日 10時) (
レス) id: ac25a16587 (このIDを非表示/違反報告)
菜帆(プロフ) - まじめさん» コメントありがとうございます(*´∇｀*)ドキドキして貰えてよかったです。次回作も是非よろしくお願いします^ ^ (2017年8月27日 21時) (レス) id: 1fc7b90d65 (このIDを非表示/違反報告)
まじめ(プロフ) - 完結おめでとうございます！もうキヨの告白とかめっちゃドキドキしました(*/ω＼*)ｷｬｰ!!次の話も楽しみにしてます！！ (2017年8月27日 17時) (レス) id: db8a5ded20 (このIDを非表示/違反報告)
菜帆(プロフ) - reiponnさん» はい！是非またコメントして下さい(*´∇｀*)これからも応援よろしくお願いします！ (2017年8月25日 22時) (レス) id: 1fc7b90d65 (このIDを非表示/違反報告)
reiponn(プロフ) - 菜帆さん» 返信ありがとうございます！そうなんですか！嬉しいと言ってもらえて嬉しいです(*´∀｀*)できればまた話しましょうね！応援しています！ (2017年8月25日 17時) (レス) id: 61a6d8b17c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜帆 | 作成日時：2017年7月23日 20時
