2.雨やどり ページ2
キヨside
「よかったら、お店の中入ってください」
すげぇ綺麗な人。
それが、俺がAちゃんにもった第一印象。
「・・・」
「?」
俺が見とれていると、彼女は不思議そうに首をかしげた。
一目惚れ。
そんな短い言葉だと気持ちが大きすぎて溢れてしまいそう。
「あの・・・」
「あ、はい!」
「お店の中はいってください。雨やみそうにないですし」
頭を片手で掻きながら、すんません。ありがとうございます、と言う俺に彼女は、気にしなくていいですよ、ってにこっと笑った。
取りあえず、そんな笑顔を向けられて、断る理由がどこにもなかったので定員さんに続けてお店に入る。
それと同時にまた、カラン、って音がして店内に響いている音楽が耳に残った。
「お好きな席に座ってください」
一人でテーブル席に座るのもあれなので、奥から二番目のカウンター席を選んで座る。
目に入ったメニュー表には美味しそうなケーキがたくさんのっていた。
ぐうぅ、と腹が鳴る。
「タオルどうぞ」
「!」
急に話しかけられてびっくりした俺に、定員さんはふふっと笑う。
何これ、ちょー恥ずかしいんだけど。
「濡れてたら風邪ひいちゃいますよ」
「あ・・・ども」
渡されたタオルで髪を拭くと、ふわっと柔軟剤の香りがした。
「あ、あとこれも」
「え・・・」
コトン、と音をたてて俺の前に置かれたのは暖かそうなココアがはいったマグカップ。
「これ、私からのサービスです。お金は気にしなくて大丈夫ですよ」
俺、だんだんこの子が女神に見えてきた。
「急に降ってきましたもんね、雨」
「そうっすね。・・・さっきまでは晴れてたのに。」
「ふふっ。本当に。」
雨がやむまでゆっくりしていってください、と俺に言葉を残し、彼女は他のお客さんのところへ注文を取りに行った。
それから俺はスマホをいじったり、ココアを飲んだりして適当に過ごしていたら、いつの間にか雨は上がっていた。
「あ。あがりましたね」
「はい」
ちょうど飲み終わったココアを片付けながら、定員さんが俺に話しかけた。
「今日はありがとうございました。助かりました」
「いえいえ。こちらこそお役にたててよかったです。あ、あの。」
「・・・?」
サービスで出したココアのことは店長には内緒でお願いしますね。
そう言って彼女は人差し指をしーっと立てて子供のような悪戯っぽい顔で笑った。
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鳩ポッポ(プロフ) - 会社の休み時間に見ていたのですが、内容はもちろんのこと文章の書き方や表現がとても好きです!ドキドキしてしまって、平常心で仕事ができなさそうなので帰ってからじっくり読ませていただきます。とても素敵だったのでつい途中でコメントしてしまいました… (2018年3月22日 10時) (レス) id: ac25a16587 (このIDを非表示/違反報告)
菜帆(プロフ) - まじめさん» コメントありがとうございます(*´∇`*)ドキドキして貰えてよかったです。次回作も是非よろしくお願いします^ ^ (2017年8月27日 21時) (レス) id: 1fc7b90d65 (このIDを非表示/違反報告)
まじめ(プロフ) - 完結おめでとうございます!もうキヨの告白とかめっちゃドキドキしました(*/ω\*)キャー!!次の話も楽しみにしてます!! (2017年8月27日 17時) (レス) id: db8a5ded20 (このIDを非表示/違反報告)
菜帆(プロフ) - reiponnさん» はい!是非またコメントして下さい(*´∇`*)これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月25日 22時) (レス) id: 1fc7b90d65 (このIDを非表示/違反報告)
reiponn(プロフ) - 菜帆さん» 返信ありがとうございます!そうなんですか!嬉しいと言ってもらえて嬉しいです(*´∀`*)できればまた話しましょうね!応援しています! (2017年8月25日 17時) (レス) id: 61a6d8b17c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜帆 | 作成日時:2017年7月23日 20時