＊番外編｢MerryX'mas 前編｣＊ ページ9
はぁ、と息を吐くと
ふわっと目の前に白い霞が広がり
瞬く間に上へ上へと上ると共に
空中へ消えていく。
大学に入って一年目のクリスマス。
Aは港に街の夜景を撮ろうと、
日菜子と共に来ている。
斯く言う日菜子がここに居ないのは
買い出しじゃんけん(三回勝負)に
惨敗し、温かい飲み物と食べ物を
調達しに行っているからだ。
｢いいもんいいもん、ロシアンおでんとか
買ってきてやるからなぁー！
激辛はちみつレモンとか
買ってくるからなぁー！｣
そんな捨て台詞を吐いて言ったが、
負けたのは自分のせいなのに
逆ギレもいいところである。
しかも仕返しが幼稚だ。
｢あ、でも生姜入りのはちみつレモンなら前に見かけたなぁ…｣
学内の自動販売機の一番下の段
ミルクティやココアと並んで
ぽつんと佇んでいたので印象的に覚えている。
ぶるりと身震いをする。
今日は風が無いとはいえ、
真冬の夜は流石に冷えきっている。
何処か建物の中に入ろうかと考えていると
｢おい。｣
ふいに背後から声をかけられる。
｢えっと…？｣
街灯は少なく、辺りはほぼ暗闇のため声の主の顔は把握出来ないが
声と背丈や格好で男性だということが分かる。
｢お前、こんなとこで何やってんだよ｣
｢…友達を待ってるだけです｣
我ながらかなり無愛想だな
とAは少し引け目を感じるが
暗い場所だ、警戒するに越したことはない。
｢待つならこんな所止めとけ。
襲われるし風邪ひくぞ｣
正論に少し面を食らう。
ナンパの類かと思っていたが、
どうやら違ったらしい。
｢親切にありがとうございます。
それでは｣
｢ちょっと待て。｣
明るい場所へ移動しようとすると
先程より大きめの声で呼び止められる。
振り返ると唐突に缶を投げつけられ
間抜けな声を出しながら胸元で受け止める。
両手に握りしめられた缶は温かく…むしろ冷えきった手には少し熱く感じられた。
｢さっき自販機で当たりが出てよ。二つも要らねぇし、やるよ｣
男性は踵を返し、そのまま暗闇へと消えていった。
突然の事態に男性が去ってから
お礼を言っていないことに気が付く。
カシュッと缶の蓋を開け、両手で温かさを
感じながらごくりと口にする。
｢かっっっっっっっらっ！！！｣
甘く仄かな味と香りが広がったかと思うと
焼けるような辛さが喉を襲う。
一気に身体が熱を帯びていくのが分かる。
パッケージを見ると、そこには
『生姜入りはちみつレモン』
と書かれていた。
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ryi - な、、つ、、だっとぉ？！、サマトキsummerで授業中笑って怒られました (2020年10月5日 10時) (
レス) id: 6b47d62694 (このIDを非表示/違反報告)
ろはこ(プロフ) - Thistle*さん» ご指摘ありがとうございます！先程訂正しておきました。全く気づいてなかったので助かりました……！引き続き更新していくのでよろしくお願い致します！ (2019年4月13日 1時) (レス) id: e686fa565e (このIDを非表示/違反報告)
Thistle* - コメ失礼しまーす！えっと…さまとき様が一番最初に出てくるところが、青棺になってますよ！ 更新頑張ってくださいね！ (2019年4月12日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
ろはこ(プロフ) - りゅうとさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9bbefb7ab5 (このIDを非表示/違反報告)
りゅうと(プロフ) - 内容が凄く好きです！続き楽しみにしてます！！ (2018年7月22日 23時) (レス) id: 2265138f3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろはこ | 作成日時：2017年11月30日 19時
