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*第11話* ページ15

猫を抱きかかえて声のする方へ
目をやると、
先程の電化製品店の店員と
アロハシャツを着た男が相対していた。

店員は仕事中にそのまま出てきたのか、
店の制服の格好だった。
その表情には焦りと恐怖で満ち溢れている。

対するアロハシャツの男は、
白髪赤眼で端正な顔で不機嫌さを露骨に
表情に出しながら店員を睨みつけていた。

「ウチへの借金残したまま
何処に行方を眩ませたかと思えば、
まさかのうのうと働いていたとはな。
随分立派なもんじゃねぇか」

「ま、待ってくれ。
借りたのなんて二年前のことだし、
無かったことにしてくれないか…?」

震えながら声を絞り出す店員。
怖いにも関わらず、そんなことを言うとは
見上げた根性である。
アロハシャツの男は更に眉間に皺を寄せ、
ズボンのポケットから出した煙草に
火をつける。

「そっちから金借りたのに、
「無かったことに」 は虫が良すぎるだろ?
二年も待ってやったんだ。
返すべきものはきちんと返してもらうぜ」

咥えていた煙草を右手に持ち替え
煙を吐きながら近付き、
店員の眼前で立ち止まる。

「まぁ返すのとは別に、『ヤクザ』に向かって
舐めた真似するとどうなるか」


ニヤリと悪どい表情に変わる。


「痛い目見てもらおうか」



ジュッッ と焼ける音(・・・・)が響いた。



「うああぁあああああああああぁあああああああああああああああああああああああああぁあぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁああぁあああああああああぁあああああああああああああああああああああああああぁああああああああああああああああぁぁぁああぁああぁぁぁッッ!!!」

断末魔のような叫び声がその場を支配する。


男は店員の眉間に火のついた煙草を
押し付けたのだ。

Aは苦悶する店員から思わず目を背け、
猫を抱えたまま両手でカメラを握り締める。


とんでもないものを見てしまった。


震えが止まらない、見てしまったことに
気付かれたら自分はどうなるのか、
こんな時に限って想像は容易であった。

腕から顔を出した黒猫が「にゃあ」と
ひと鳴きした。




「おい」




頭上から降り注がれた声は、
聞きなれた友人の声でもなく
未だに苦しんでいる店員の声でもない。

白髪に赤眼、アロハシャツ。


紛れもない、『ヤクザ』の男だった。

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設定タグ:ヒプノシスマイク , 碧棺左馬刻 , MADTRIGGERCREW   
作品ジャンル:ラブコメ
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ryi - な、、つ、、だっとぉ?!、サマトキsummerで授業中笑って怒られました (2020年10月5日 10時) (レス) id: 6b47d62694 (このIDを非表示/違反報告)
ろはこ(プロフ) - Thistle*さん» ご指摘ありがとうございます!先程訂正しておきました。全く気づいてなかったので助かりました……!引き続き更新していくのでよろしくお願い致します! (2019年4月13日 1時) (レス) id: e686fa565e (このIDを非表示/違反報告)
Thistle* - コメ失礼しまーす!えっと…さまとき様が一番最初に出てくるところが、青棺になってますよ! 更新頑張ってくださいね! (2019年4月12日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
ろはこ(プロフ) - りゅうとさん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年8月4日 21時) (レス) id: 9bbefb7ab5 (このIDを非表示/違反報告)
りゅうと(プロフ) - 内容が凄く好きです!続き楽しみにしてます!! (2018年7月22日 23時) (レス) id: 2265138f3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ろはこ | 作成日時:2017年11月30日 19時

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