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ヒトミさんの瞳 ページ31

「あなた……本田さん、だよね。 ありがとう」

「うん」


するとヒトミさんは、何かを探すようにキョロキョロと教室内を見回す。

「その……ミカ達はどこに行ったの?」

ミカ……安藤さんの事か。

「あ、安藤さんは、先に教室に戻ったよ」


そう答えると、ヒトミさんは切ない表情でため息を吐いた。

「私は放って置いてかれたって訳か……」

「…………」

なんと相槌したらいいか分からなくて、思わず押し黙る。

ヒトミさんはそんな私を一瞥して、突然ぽつりぽつりと言葉を吐き出し始めた。


「私ね、人に合わせてばっかりなの」

え?

「昔から、友達の調子に合わせて、自分が仲間外れにならないように気をつけてさ」

ヒトミさんはうつむいて、苦しそうに自嘲する。

「今も、ミカの言ってる事に同意して、本当は嫌なのに流されながら生きてる。 こういうのダメだって思うんだけど……」

私は、ヒトミさんの手が震えている事に気付いた。

その手を握るべきか……距離感が分からなくて、結局ひたすら見つめることしか出来ない。


「一人ぼっちになるのが怖いの……」


ヒトミさんの言葉に、私は息が詰まった。


もうこの場にはいない悪霊へと、心の中で呟く。


……ほらね、誰だってぼっちで悩んでるだよ。
それで、嫌な事も人に合わせちゃうんだよ。


「ごめんね、本田さん」

「えっ」

「すごく嫌な思いさせちゃって。 ミカ達と一緒にバカにして、ごめん」


顔を上げ、私と目を合わせたヒトミさんは、本当に申し訳なさそうに頭を下げた。


「これからも、ミカに合わせて本田さんの事バカにしてくると思う。 それも、ごめん」

「…………」

「すごい偉そうでごめん。 でも応援してる。 本田さん、ミカに負けないで」


真剣でまっすぐなヒトミさんの瞳。


そう言ってくれて……私は嬉しくなる。


「ありがとう、ヒトミさん。 私、頑張るよ」


現状はあんまり変わってない。


でも、私の心は晴れやかだった。

焦りは焦りを呼ぶ→←ぼっちでも。



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設定タグ:モブサイコ100 , ぼっち , 花沢輝気   
作品ジャンル:アニメ
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オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» 毎回素敵と言ってもらえるなんて……! ありがとうございます! ほんっとうに嬉しいです! これからも頑張ります! (2019年6月29日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - 更新されるお話が毎回毎回素敵で本当に読んでいて楽しいです!更新お疲れ様でした!無理をなさらずにまた更新頑張ってくださいね! (2019年6月29日 10時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - 木の葉さん» こちらこそ、ありがとうございますー! 嬉しいお言葉です! もっとぼっちに優しい世界になるといいですね〜。 (2019年4月15日 7時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)
木の葉 - ぼ、ぼっちに優しい…!!!!!ありがとうございますぅぅぅぅ(´Д⊂ヽしかもすっごく面白いです!これからも更新頑張ってください(*^^*) (2019年4月15日 6時) (レス) id: 927779d34a (このIDを非表示/違反報告)
オトナノジジョウ(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» ありがとうございます! とっても励みになります! おっしゃる通り、無理し過ぎず頑張っていこうと思います! (2019年4月14日 12時) (レス) id: aad4b6e5d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オトナノジジョウ | 作成日時:2019年4月10日 23時

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