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「ごめん!お待たせ!」
待ち合わせした場所に勇利とヴィクトルはすでに着いており、それを見た私は少し駆け足で二人の元へ行く。
「今来たとこだよ。それより俺、お腹空いたよぉ〜もうペコペコー」
へらっと笑うヴィクトルはお腹をさすって見せる。
「ホントごめんね!お店はここから近いの?」
「うん。さっき調べておいたからバッチリだよ」
行こう、行こうとヴィクトルは私と勇利の手を引っ張り歩き出した。
入店した店は超はつかなさそうだが、高級店とまではいかない、比較的庶民的な飲食店だった。
ヴィクトルが勇利の向かいに座ったので私はいつものようにヴィクトルの横に座る。
席の奥に座った彼らの代わりに手前に座った私は店員に火鍋やお酒などを注文してゆく。
「勇利、コンディションの方はどう?」
体調不良で勇利の練習を見に行けていなかったので料理が運ばれて来る前に他愛もない話のひとつとして勇利に話を向ける。
「うんー……まぁ普通かな」
「勇利の普通は分からないからなぁー」
なんて笑いかけるとヴィクトルが口を開く。
「あ、A聞いてよー今日、ヤコフに久々に会ったんだけどー話し掛けたら、コーチごっこして遊んでるなんて言われちゃったよー」
ヤコフと言う人物が選手なのかコーチなのか誰なのかは知らないが、ヴィクトルが休んで勇利のコーチをしているのが気に入らない人がどうやら居るという状況は理解した。
「そうなの……でも、そんなことでヘコむヴィクトルじゃないでしょ?勇利に金メダル持って帰って来てもらって遊びじゃないって証明しよう!」
勇利にかかってるんだぞと期待の視線を送ると目を逸らされた。
そうこうして居るうちに火鍋とお酒が来たのでヴィクトルと私はお互いにお酒を注ぎ合う。
「勇利はお酒飲まない?」
そう聞くと、試合前の飲酒は控えてると断られたので、私達は恒例ともなった乾杯をして一口目のお酒を口にした。
「やっぱり、Aとお酒を注ぎ会って乾杯すると安心するよ」
「一緒にお酒飲む機会がある時はいつもこれしてるもんね」
なんて言って笑いあった。
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作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月25日 14時