54 ページ5
今日も今日とてアイスキャッスルに足を運ぶ。
練習の合間に昨晩言っていた勇利くんのために作られた曲のを聞く。
ヴィクトルが先に聞いて、その次に私も聞いてみたのだか、例えるなら霧がかかっている感じ、これは私の直感だから好き嫌いもあるしと思いつつ、素っ気なく「まぁ、勇利がこれにしたいって思うなら良いと思うよ」と返事をしてしまった。
そんな私の若干オブラートに包まれた返事ではなく、ヴィクトルはストレートにスマホを勇利に返却しダメ出しをした。
気の毒だが勇利は苦い顔をしていたような気がする。
アイスキャッスルから帰る前に少し優子さんと世間話をする。
ユリオとメル友な優子さんの情報によると、ユリオのコーチをしているひとの元嫁がフリーの振り付けをするらしく朝から晩までビシビシと鍛えられてるそうな。
「へーユリオも大変なんですねー」
「でも、住み込みで朝から晩まで一緒なんて成長できそうだと思うな!」
「そうかもしれないですよねー ヴィクトルと勇利も同じ屋根の下にいて、それこそ朝から晩まで一緒で恵まれた環境ってヤツですよねー」
うふふっと二人して顔を見あって世間話をすれば帰宅の準備ができたヴィクトルに名前を呼ばれる。
「あ、じゃあ優子さん、また!」
私は軽く手を振ると優子さんも手を振り返してくれた。
「優子と何話してたの?」
いつものように自転車の後ろに乗れば先程の世間話の内容を聞いてくる。
「うん?あぁ、恵まれた環境で練習できる勇利はいいなぁつて話ですよ」
かなり大まかに説明してしまったので話が伝わったかどうか……
「そうか。優子と仲よさそうで良かったよ」
逆にどうしたら仲が悪いように見えるのか知りたい。
「年齢はヴィクトルよりも離れてないからね」
「年齢は関係ないんじゃないかー?」
「ふふ、そうかもね。好きなものが一緒なら年齢なんて関係ないコトぐらい球場に行って既に学んでたんだった」
潮風が吹いて肌に当たっても痛くない季節になったものだと、ふと思った。
時間が流れるのは早いものだ。
「ね、ヴィクトルー?勇利はどんないい曲持ってきてくれるかな?」
今日聞かせてくれた曲も悪くはないと思ったのだが、私は彼に期待をしている。
「……勇利なら大丈夫だよ」
少し遅れたタイミングでヴィクトルから返事が来たので、そうだね。と相槌をうった。
195人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月25日 14時