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自室で本を読んでいると勇利が自室に入ってくる。
「ヴィクトルーA、中国大会のバックパスなんだけど二人分の申請で良いんだよね?」
私は本にしおりをさす。
「え、私も……?行っても何もできなくない?」
第一に海外に行きたくない理由がある。
私は話を断る方面に持っていこうと考える。
「衣装の最終チェックぐらいだと思うけど出来れば来て欲しいな……」
選手である勇利に言われると断りにくい。
勇利は来たくなかったら来なくて良いよ!と遠慮している。
「いや、行きたくないわけじゃないよ?うーん、でもー」
私は飛行機が苦手だ。
乱気流の影響で機体が上下に揺れる感覚が苦手で大阪東京間で三度は死を覚悟する。
快く行くと言わない私にヴィクトルは言う。
「行きたくない理由があるの?」
ストレートに聞いてくるなぁ、この人は……
「いや、そりゃあ目の前で勇利が頑張ってるのを見れるのは最高だよ?」
「じゃあ何故?」
「……いくなら船で行く」
もそもそと早口で言う私に対して二人が先ほどの発言を聞き返す。
「……行くならフェリーで行く!!」
「フェリー!?」
驚いた二人の声が重なる。
「どうして船!?」
勇利が私に突っ込む。
「機体が揺れるのが怖いから!」
その程度で怖がっているのが恥ずかしく思えてくる。
「船だって揺れるじゃないか」
ヴィクトルは呆れたような鼻で笑ったような声で言う。
「船は落ちても水があるから泳げるけど、飛行機は落ちても私、空飛べないもん」
そういう私にヴィクトルは笑って言う。
「落ちる時は俺たちも一緒じゃないか」
「そーいうのを言いたいんじゃないんだよねー……」
私は重いため息を吐けばヴィクトルは勇利はに言う。
「Aが船で行くか飛行機で行くかは、まだ決めてないけどとりあえず二人分のパス申請しておいてくれる?」
そう言うと分かったと勇利は彼の自室に戻った。
「本当に船で行くの?船はどれぐらいの時間がかかる?」
諭すように話を聞かれる。
「二日」
「飛行機は?」
「四時間ぐらい」
「大阪に旅行に行った時の往復は何時間ぐらいだった?」
「5時間ぐらい」
「その往復時間は長かった?」
「勇利達と話してたからあっという間だった」
子供にするような尋問をヴィクトルはする
「なら飛行機で中国に行くのも話してたらあっという間だ。一緒に中国行こう?」
「……ぅ、うん」
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作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月25日 14時