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夕飯を食べ終え私は居間で勇利の隣に座り、今日リンクでメモしたぐちゃぐちゃのメモ用紙と新しい紙を用意して話をする。
「さて、勇利は何か曲にこんなイメージとか衣装にこんな事したいとか何かある?」
ショート用の衣装が女性的な面を持ち合わせているから、あまりフリーの衣装は女性的にしたくないのだけれどとその旨を伝える。
「うーん、僕衣装についてもコーディネーターさんに任せっきりだったから、今言ってって言われても何を言ったら良いか……」
自分のステージなのにも関わらず相手に任せっきりだったのか……
それはそれで相手は思ったままに衣装が作れるから楽かもしれないが、それではいけない。
「ええー勇利のステージなのに勇利の好きなようにしないと勿体無いよー!せっかく自分だけを見てくれてるんだよー?!俺を見ろ!って思えるようなカッコいい衣装にしようねっ!」
私のヤル気に押されてか、勇利は「うん」と眉を下げて言った。
「で、衣装についてのイメージは今はないのは分かったけど、曲についてのテーマが愛なのは分かったけど、ストーリーとかはあるの?」
こんこんと机の上に置いた紙にペン先を置く。
「うん、一応……」
よし、それを教えてくれとペンを握り直す。
すると、つらつらとそのことを話してくれる。
……これは長谷津に帰ってきてからヴィクトルと出会って、私が衣装を作るという所、そしてこれから……
話を聞いていて少し恥ずかしい。私もヴィクトルと同じ立場と思われてたのか。
「ふーんなるほど。」
お世辞にも綺麗と言えない字でメモを書き連ねる
「おっけー分かった!じゃあ今日はこんな感じでいいか!勇利も何か案が浮かんだら何でも良いから言ってね」
テーブルの上に散らばった紙を束ねてファイルに詰め込む。
「ユーリぃ」
そして少しの間があった後にヴィクトルの声がする。
「勇利ぃーグランプリシリーズのアサイン発表されたよー」
階段を降りる音が止まり、ふすまからヴィクトルが顔を覗く。
「アサイン……」
それ何?フィギュア用語……
私はこっそり勇利に耳打ちする。
「アサインって何……」
「えっと、出場選手って意味かな」
……なるほど。
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作者名:かなぁ | 作成日時:2016年11月25日 14時