【ユーリ!!!】野球女と銀盤の王子2 (ページ2)

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勇利くんと私は同じベンチに座る。
　ヴィクトルは私達の前に立ってそれを眺めている。

「実は、勇利くんにお願いがあって話をします」

　ヴィクトルに聞かれると恥ずかしいのでこれからの話は全て日本語でする。

　改まった表情の私を見て、勇利くんまでもが緊張している。

「は、はい。なんでしょう……」

　言葉までガチゴチだ。

「実は、勇利くんのフリースケーティング用の衣装……私に作らせてください！！」

　ベンチから立ちあがり私は頭を下げる。

「え、ええ？！ち、ちょ、ちょっと待ってホントに？！」

　もっと押してみたら彼が納得してくれるだろうか。

　私は再びベンチに座りなおして、戦場に持って来たクリアケースを開けて、勇利くんのエロスをイメージしたデザインを見せる。

　勇利くんは綺麗だと一言漏らす。

「これ、この前の温泉 on ICEの時の勇利くんをイメージしたドレスなんだけど、私、すごい感動した！こんなに情熱的な女性の演技、並みの女性でも出来ないなって思ったし、それで衝撃を受けて速攻帰ってドレスのデザイン考え付いたの！」

　とりあえず、演技に感動したという事を話して続ける。

「それでね、私も悩んでたの。こんなドレスが描けるまでは陳腐なデザインしか描けなくって……どうしようかって思ってたの。そこにヴィクトルが賭けを持ち出してきてね」

　少し思い出し笑いする私に勇利くんは「賭け？」と聞いて続きを促す。

「うん。私の、自分の納得のいくドレスデザインが温泉 on ICEを見て描けたならユーリの衣装を描いて欲しいって」

　私の話を勇利くんは静かに聞いている。

「で、結局私は勇利くんのエロスに感銘を受けてこれだけいつもとは違う力強いドレスデザインが出来たワケなんだ。……ここまで聞いてるとヴィクトルとの賭けで負けたから衣装作るんだって思ったかもしれないけど違うの」

「ここまで私の心を揺さぶった勇利くんだから、それだから勇利くんのためだけに今は衣装を作りたいって心から思ってるの！」

　ずっと静寂のままだ。

「私は社交ダンスの女性用ドレスを作るのが専門だけど、いっぱい研究して勇利くんのためだけに滑りやすい衣装、かっこいい衣装作って見せるから！」

　これが私の精一杯だ。

「だから、私に勇利くんのフリースケーティング用の衣装作らせてください！！お願いします！」

　私は再び勇利くんに頭を大きく下げた。