［HP]繊翳を捉える［セブルススネイプ］ (ページ9)

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気の重い新学期ページ9

FromA
毎度変な事だと思うが、この学校には入学式もなければ、親が学校に来ることもない…日本ではそれなりの行事である『入学』が寮分けだけでスルッと終わるのはやはり違和感だ

そして寮分けと校歌斉唱(というより校詩斉読)が終わってから気づいたが、いつも暗い色の教員席の中に、1人だけやけに明るいサファイア色の装束の金髪の人が座っている
「ねぇ、あれって…」
そんな声が所々から聞こえたが、その答え合わせはすぐに行われた

ギルデロイロックハート

校長がその名前を呼び上げた
悪いが名前からして既に多少の胡散臭さがあり、そしてさらにあの胡散臭い本を書いた本人が、そこに座っていた
しかもあろうことか、彼が今年の防衛術の教師だと言う
まぁ、そうでもないとあんな三文娯楽本が「教科書」になることなんてないか、とも思う反面、そんな彼にあの学科の教師が務まるとは思えないとも思った

そんな私の考えなどつゆ知らず、生徒席からは少し高めで興奮したようなひそひそ声が上がっている

その彼は立ち上がり、挨拶をした
普通の教師なら一言二言で済む所を、彼は長々と自分の肩書きや経歴を述べ、更にファンサービスだと言わんばかりにウィンクなんかをしてみせた
正直、私は彼の「ファン」でもなんでもないし、そうなる日も来ないだろうだと思った
私は彼のような…過度な自信を持つ人間は好きではない…まぁそれも、自分に自信がない裏返しなのだろうけど

そんな事もあって、寮へ帰る学生の波の中でもいろんな方面から興奮した話し声が聞こえた
「…英国人って、あぁ言う人がモテるんだね」
「らしいわね。私もさっぱりだけど」
そう私よりも不機嫌そうに答えたのは同室の優等生だ
授業中もずっとこんな空気なのかな、と気が重くなる
「なんか…先が思いやられるよ」
「ええ、そうね…それよりその指輪、どうしたの」
その彼女の一言でようやく、あの約束を思い出した
「…あ、あぁ、そうだった…ごめん、先に帰ってて」
「良いけど…早く戻ってね」
「うん、じゃあね」
レイブンクロー塔に向かう人並みに逆らって進み、途中からスリザリン生に紛れて地下へと向かう
肌寒くて、湿っている空気を肌に感じながら、私は一つのドアをノックした