尋問 ページ5
何をするかと思えば、本当にただの尋問…いや、試験の様なものだった
態度も目つきも悪い役人に、椅子に縛り付けられた上で、全てを録画されている、という点を除けば
カメラ…いや、「記憶機」と言っていたその機械のレンズには、ずっと私1人が写っている
角度的に、私が椅子に縛り付けられているとはうまいことわからない様になっているのだろう
しかし、先ほどから質問は本当に何ともないものばかりで、体は緊張状態なのに気は何だか引き締まらなくて、考えることと言えば、「この人烏丸って名乗ってたけど、本当に烏みたいな目だな」ということくらいだった
「では第50項目、アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えるとできる魔法薬は…」
「試験で答えるとするなら、生ける屍の水薬、ですね」
「宜しい…では次、」
「ちょっとだけ、待っていただけますか？」
「…はて、どうしました？」
どうもこうもない
何故私は日本の魔法省の人に縛り上げられたまま、かれこれ50問も真面目に口頭試験を受けているのか、何問まであるのか、合格ラインは何点なのか、そもそも何故録画しているのか、縛られているのか…聞きたい事が100個くらいある
「あの…少し質問しても？」
「…3問までなら、どうぞ」
これだけ答えさせておいて3問とは…いつぞやの日本人教師達を思い出す
「…まず一つ目、この口頭試験の目的は」
「英国に預けている貴女がしっかりと学習できる環境にいるかのテストですよ」
まるでおじさんやおばさん、先生方を疑っている様な言葉だ
それに、預けている、なんて、まるで本当の保護者が日本にいるとでも言いたいのか…変な言い分だ
「はぁ…」
「あと2問だ。慎重に使え」
「…貴方の、日本魔法省内での所属と階級は」
「国際魔法協力局、欧州課、教育連絡員…そんな事を聞いてどうする」
「別に何も」
もし何かあれば日本魔法省にクレームでも入れられる様に、くらいしか考えていなかった
「では最後に…これ、あと何問あるんですか」
「お前はまだ半分しか答えていないし、時間はあと1時間ほどだ。残りも素早く答えたまえ」
「えぇ…」
本当に気が遠くなるが、何となくこの人は本当に言われた事をやっているだけな気がしたし、この人に大人しく従うのが最善であろうことは、いくら私でも察する事ができた
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作者名：nagisa | 作成日時：2024年1月29日 18時
