［HP]繊翳を捉える［セブルススネイプ］ (ページ4)

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久々の日本人ページ4

FromA
そろそろ学校が始まると言うある日、私はおじさんと共に珍しく電車に乗っていた
ロンドンの地下鉄に乗るおじさんは、それなりに様になるはずのイケメンなのに、何故か少し浮いていた
何故だろうと思うと、その服装のせいだと今更ながら気がついた
去年はローブなんか全く見慣れなかったはずなのに、今となってはそれが当たり前になっているのだから、慣れっていうのは不思議だ

地下鉄を降りると、駅から出て少し寂れたビルの裏まで歩き、そこにある電話ボックスに2人で入った
おじさんは通行人がいない事を確かめると、何やらダイアルを操作した
彼曰く、去年のは「内部者用入口」からで、今年は「お客様用入口」かららしい
電話ボックスごと地下に潜るという普通ならありえない経験を終えてドアを出ると、そこには魔法使いや魔女が沢山いた
「離れないようにね」
おじさんの背中を追い、やっとのことで辿り着いた先は、仰々しい黒塗りのドアだった
そういえば去年もこんなことがあったな、なんて考えていると、ドアが急に開かれた
「…すぐそこで躊躇されたところで、こちらも困惑するだけなのだが？」
なんかツンケンした、聞くからに意地悪な声だ
というか久々の日本語だ…ということは、私に話しかけているのだろうか
考えることが多くて固まっていると、急にドアが開いた
中から出てきたのは眼鏡をかけた上背のあるオールバックだった
「…これはこれは。この度はこの様な機会を頂けまして日本魔法省を代表して礼を申し上げたい次第です」
「…あぁ…」
だれかと思えば、この作り笑顔に無駄に流暢な英語…
確か去年、私がイギリスに残りホグワーツに入学する手続きをする時にいた日本の役人だったはずだ
さっきの発言はどこへやら、叔父さんとその後ろの役人に嫌味なほど丁寧な挨拶をしている

「あぁ、では彼女を頼んだよ」
後ろから背中を押された
「はい、では2時間後に」
気づけば私は先ほどドア越しに見ていた部屋に、日本人と2人きりだった
「2時間…」
そんなに長くこいつの前に放置されるのだと何となく察し、私はついそう漏らした
「なに、尋問…いや、検査を受けていれば、そんなの一瞬だよ」
こいつ尋問って言った…
相変わらず友好的なのかそうじゃないのかはっきりしないと溜息を吐くと、和かに細められていた目がゆっくりと開かれた
気にしていなかったが、彼の一重で切れ長の、しかも三白眼に睨まれれば、それなりに恐ろしくも感じる
「じっとしてろよ、ガキ」