詰問 ページ8
FromA
「ひぇっぷし!」
月曜日、この時期の飛行訓練は正直寒くて敵わないと内心文句を言いつつ地下教室に向かう
「ほんと寒い…」
「でも最近の地下教室はちゃんと暖かくされてるから…」
そう話す女の子達の声も寒さに震えている
地下教室は最近どういう事か…恐らく魔法によってだが…暖かくなっている
多分あの子が言ってたスリザリン寮の仕組みと同じなのだろうと思った
そうこう思いながら教科書を準備しているといつものようにローブを靡かせながら先生が入ってきた
最近はこの人がよく減点してくるのでみんなが前に座りたがらず、私が最前列になってしまう
「本日は先週作った薬…と言っても薬と呼べるものを作り出せた者はごく一部だが…について確認した後、次の調合の説明をする。まず評価を配るので各自自らの減点理由に目を通すように」
みんなの頭上を飛んで配られた紙にはいつものように出来具合の記号がある。私は自分のSを見て安堵した。ポイントとなる事前に用意しておくべき混合液に最初に気付いてよかった
その後は反省点を書き込んでそれをファイルに入れ、先生の講義を聴いた
薬学は調合が難しいので、正直聴講だけの回は安心する…のに、先生はよりによってこの安心しきっていた時に私に居残りを命じた
「すぐに済む」
みんながいなくなった教室のドアを閉めながら先生が言った
「アスフォデルの花言葉は?」
「… 『私は君のもの』『後悔』」
「ではニガヨモギは？」
「『離別』『不在』『恋の悲しみ』です…」
「…では呼ばれた要件は分かるな。なぜこれらを調べたりしていた」
つまり、私が消し忘れた本の印がバレたという事だ。勿論消し忘れた事には気付いて少し心配してはいたがまさか問いただされる事になるなんて…私はなるべく先生の過去を詮索していたという印象を与えない様にする言い方を慎重に考えた
「先生が最初の授業で質問した植物だから何か理由があるのかと思って調べてました」
「それで何か分かったかね?」
「いいえ何も…ただアスフォデルが百合のような綺麗な花だという事しか…」
百合、という単語を発した時、先生が少し眉根を寄せた
「で、その理由に関する君の見解は?」
「いや…先生が百合の花が好きなのかな、としか…」
先生はまたさっきのような顔をした
「百合か…あぁ、好きだ。勿論」
先生は少し笑った
「そうですか、じゃあ」
私は手近に合った紙で百合の花を折り、先生の手に握らせた
「これを…先生が好きな物を知れて良かったです」
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エマ - 「私だってもう教師なのに」という教授のセリフが堪らなく可愛くて悶絶しました。ありがとうございます。 (2月12日 0時) (
レス) @page27 id: 39c076b3bd (このIDを非表示/違反報告)
岡Ｐ(プロフ) - お話とても面白かったです。この先どうなるのか更新楽しみにしています。 (2023年3月9日 23時) (レス) @page33 id: e3d27a2b53 (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - 箱さん、コメントをくださり誠に有難うございましたした。 (2023年3月8日 3時) (レス) @page31 id: d439bf7a27 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2023年2月27日 22時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
nagisa(プロフ) - ユカさん、ありがとうございます。もう少し頻繁に更新できるように頑張ります。 (2023年1月16日 22時) (レス) @page30 id: cffaeac670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nagisa | 作成日時：2022年3月13日 8時
