堪えてた ページ30
息が乱れる。
我慢していた泣き声が溢れた。
「ぅ…うっ…」
『？ A？どうした？腹痛えのか？』
「ひぐっ…うぅっ…」
おい大丈夫か、返事しろ、と轟が早口になる。
いつも感情の変化が分かりづらい彼が焦っているものだから、珍しいなあ、なんて泣きながら思う。
『A？誰かに何かされたのか？ボコすからそいつの名前とクラス言え、聞いてるか？』
「う、うぅ…ちがう…」
『違う？じゃあ何だ、転けたのか？』
「それも…ひっ、ぅ、ちがう…」
『なら何で泣いてるんだよ…！？』
「うぅっ、ひくっ、泣いてないぃ…」
もちろん、それはバレバレの嘘だった。
電波の向こうで轟が黙り込む。
心配してくれている人に対して大丈夫、ありがとう、とすら言えない私に呆れてしまっただろうか。
それならそれでいい。轟が私みたいな女に構い続けるほうがおかしなことだ。
轟はさっさとこの電話を切るべきで、私たちは今まで通りの『付き合いの浅い友達』でいるべきなんだろう。
だってそうすれば後々傷ついたりしないから。
『…そうか。泣いてないならいい。漫画の話、していいか？』
けれど轟は電話を切らなかった。
「うぅ…ひっ…何で…」
『何でって、面白かったからだ。未だに語れるんだろ？話し相手になってくれ』
「ぅ、ん…分かった…」
ああ、この人はなんて優しいんだろう。
そう思うと余計に涙が止まらなかった。
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なぎさ(プロフ) - てのーるさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！本作をお読みくださりありがとうございました！ (2018年10月21日 11時) (
レス) id: 2a6bd4d84b (このIDを非表示/違反報告)
てのーる - 全体がとても良くまとまったストーリー構成で、見ていて気持ちのいい物語でした！ これからもご自愛の上、執筆活動を頑張ってください^^ (2018年10月21日 2時) (レス) id: e945a347a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎさ | 作成日時：2018年8月17日 0時
