そういうこと ページ29
「…は」
「だからさ、友達とかに何か言われたら、俺らが別れたことちゃんと説明しておいてほしいなって思って」
.
ああ、そういうこと。
だめだ、驚いた顔しちゃいけない。
平然と、何も気にしてないふりしてなきゃ。
「そっか。わかったよ、ごめんねわざわざ」
すごくすごく頑張って声を出した。
それなのに、私の喉から出てきたのは掠れて弱々しくて情けない声だった。
それじゃあ、とかなんとか言って背を向ける。
本当は走って逃げ出したかったけれど、なぜか私は不必要なくらいゆっくりと歩いて立ち去った。
.
ようやく自分の部屋に辿り着き、中に入ってドアを閉めた瞬間にスマホが鳴り出した。
轟からの電話だった。
そういえば今日の夜に電話するって言ってたな。
まったく、タイミングが悪い。
電話なんてする気分じゃないけど仕方ない。出てあげよう。
「…もしもし」
声が震えないように、ぐ、とお腹に力を込めた。
歯を食いしばって、嗚咽をなんとか塞きとめる。
『もしもし。Aか？』
「…っうん。あの漫画…読んだの？」
『ああ。語りたかったから、早めに読んだ』
「ハハ…っ、語りたかったとか。何それ」
いけない。
轟の声を聞いてると、なんだか安心してしまう。
そう思ったときにはもう手遅れで、私の両目は自分でも気づかないうちにボロボロと涙を零していた。
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なぎさ(プロフ) - てのーるさん» 初めまして、コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！本作をお読みくださりありがとうございました！ (2018年10月21日 11時) (
レス) id: 2a6bd4d84b (このIDを非表示/違反報告)
てのーる - 全体がとても良くまとまったストーリー構成で、見ていて気持ちのいい物語でした！ これからもご自愛の上、執筆活動を頑張ってください^^ (2018年10月21日 2時) (レス) id: e945a347a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎさ | 作成日時：2018年8月17日 0時
