ー恋想歌・壱ー ページ32
神乃
小さい頃から歌が好きで。よく両親の前で拙い歌を歌っていたのを覚えている。その度に拍手をくれた親が、私は大好きだった。
そしてその歌はいつしか、学校でも広まるようになった。“とても素敵な声の持ち主がいる”と。
合唱部に入っていた私。その3年間で全国大会は当たり前で。そして私の学校には合唱コンクールもあり、私のクラスが毎回優勝していた。
そしてそれを知ってか知らずか、クラスどころか学年問わず、男子に告白される事が多々あった。内容は、
【合唱コンクールで神乃さんの事知りました。めちゃくちゃ可愛くて歌声ても素敵で一目惚れで……付き合って下さい!】
先に行っておくが、私はこの手の告白は全て断っている。迷惑なだけだとそう言って。
その度に部活やクラスの女子に睨まれていた。
そしてある日、いわゆるきゃぴきゃぴしていそうな女の子グループに呼ばれて、屋上に。
「アンタ、調子乗ってんの?」
『え?』
「だぁかぁら!あたしの大好きな
私の事見向きもしなかったのにアンタのことで頭いっぱいになっちゃってさ。んでそんなのも知らないアンタは私の大好きな夏樹君振った。
なんで、なんでなのよ!」バチンッ
理不尽は、時に人を闇に陥れる。あの子は、私に平手打ちをした後に、ドスの効いた声でこう言った。
「アンタさえ居なければ良かったのに。狂った歌の持ち主のアンタさえ……」
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