歌が、二十七曲 ページ30
神乃
「神乃さん、頼みますから真選組に二度と行かないでくださいね。」
万事屋に戻った後に最初に言われた重々しい言葉。
『え、』
「私はもう耐えられないんです。本当は万事屋でもヒヤヒヤしているのに……真選組にまで手を出すなんて……もう私の気が狂いそうになるんです……」
だからもう、真選組には関わるなと泣きそうになりながら楓さんは私をそう見て言った。だけど私は首を振る。
『……真選組には、もう少し関わらないといけないの。2回くらいまた事情聴取を受けなきゃ……』
「ダメ!!!」
受けなきゃ行けないと言い終わる前に拒否された。涙がぽたりぽたりと零れ、ソファーにシミが出来る。
「それなら私が行きますから。神乃さんは頼むから真選組に行かないで……」
『どうして!?どうしてそんな事まで言われないとダメなの!?
私は貴方の玩具じゃない!私は私なの!』
「“あの時”の惨劇はもう見たくないんです私は!!」
何度言っても楓さんは認めてくれない。何故、そこまで真選組に行かせたくないのか私には全く分からない。
「…………すいません、言い過ぎてしまいました。
申し訳ございません。少し頭を冷やしてまいります。」スッ
『か、楓さん……』ガララッ
何も言えずに楓さんは部屋を出た。何も聞こえない虚無のこの空間に耐え切れなかったのだろう。
『……なんで、私はいつもそうなの……』
私はどこにも行けない“籠の鳥”。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ