歌が、二十五曲 ページ28
神乃
パトカーに揺られ、万事屋まで戻って来た。
「……ん。」
『ありがとうございます!』
ふわりと笑った土方さんの微笑みは、やっぱりカッコいいとどこかで思っている自分がいる。
「……貴方ですか。真選組副長土方十四郎様」
「……椿の言ってたマネージャーとやらか。」
不機嫌なのか、少し目付きが怖くなってる楓さん。だが私を見た途端にいつもの優しい目付きに変わった。
「おかえりなさいませ。お待ちしてましたよ神乃さん。」
『もうっ!召使いみたいでやーだー!』
駄々をこねてみても「そんな事言われても……」と困らせてしまった。てか楓さんの困り顔見るの久々な気がする……
「……神乃さんになにか手出したら許しませんからね。」
「安心しろ、んな事してねェよ。事情聴取如きで大袈裟だな」
大袈裟にもなります!!と大声をあげて土方さんの胸倉を思いっきり掴んだ楓さん。私はそれを黙って見ていた。
「彼女にの身に何かあったらどうしてくれるんですか!!
私は心配で心配で……!!“あの時”の二の舞になるんじゃないかって…………!!!」
『楓さん!!』
それ以上言わないで、と私は口を挟んだ。彼には関係ないと。
『土方さんは、そんな人じゃないですから……そこまで心配しないで?』
「でも……!!」
会話についていけてないのは分かってる。でも……
「わ、悪かった悪かった。気を付けることにするよ。」
「……もう二度と、彼女の前に現れないでください」
重々しく告げられた言葉に彼は少し目を見開いたけどすぐ戻り、そのまま立ち去って行った。
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