歌が、二十三曲 ページ26
神乃
『というか、なんでそんな事聞くんです?』
土方さんは、鬼の副長と呼ばれていると記憶してる。そんな彼がこんなアイドル...
「何でもねェ。気にすんな。」
それでも、悲しみの色は消えない。かと言ってどうすることも出来ない。重い重い沈黙の時間。
それを断ち切ったのは、1本の電話。私の携帯から鳴り響く音に、土方さんは少し驚いたものの、出るように促してくれた。
『も、もしもし』
「神乃さん?」
その声を聞いて私は一気に安堵感に包まれた。この声の主は、
『楓さん!』
「もう、万事屋さんから聞きましたよ。事情聴取をされてるみたいですね。
終わりました?」
『あ、はい!』
「そうですか……良かった。すぐに戻れますか?打ち合わせがあるので。」
それだけ伝えられて電話を切られた。楓さんはとても真面目で、大切なマネージャーさんだ。
「終わったか?」
『はい。私はこれで……』
待て、と声を掛けられ、振り向くと少し心配そうな顔をしていた土方さん。
「戻るんだろ。送ってく。」
ぶっきらぼうだけど、とても優しい人だ。けれど、私はこの優しさに甘やかされてはいけない。
溺れてしまいそうになるから……
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