着弾 ページ20
トリガーに指を掛け、目を閉じた。
研ぎ澄ました神経を耳に集中させて、不審な交信がないか確かめる。
ザムザが発する高周波は、半径約３０キロに渡り波紋状に広がっていく。
蒼生は無数に聴こえてくる音波をキャッチし、それぞれの波形の形状、音の強弱やヘルツ数により、瞬時に状況を把握する事が出来た。
それは人の成せる技とは言い難く、蒼生の人並み外れた集中力や記憶力、計算力、或いは第六感とも呼べる非常に確率性の高い直感により瞬時に判断され、彼の頭の中では常に“動く生息図”が描かれている。
やはり攻めて来るのは、この一体だけだ。
距離１３５、１２０･･････。
ゆっくりと瞼を持ち上げる。
照準が右前脚の着弾地点を捕らえた。
蒼生は小さく息を吸い込み、呼吸を止め、トリガーに掛けられた指先に力を込めた。
銃の可動と共に蒼生の肩が、ずしん！と重い衝撃を受ける。
弾は狙いより僅かに左上の間接部内側に着弾し爆発した。
猛然と突進していた蟲の動きが徐々にぎこちなくなり、停止する。
もちろん甲殻には傷一つつかないが、見えざる破壊の音波は、まるで猛毒のように巨大蟲の体内を蝕み始めている。
硝煙が薄雲のように揺らぎ、その隙間から覗く大顎や脚が小刻みに震えだす。口腔からは、歯軋りのような、ぎぎぃっ･･････という奇妙な音を発していた。
苦しみ、もがいているのだ。
そして、巨体は遂に脚を折り曲げ、崩れ落ちるように甲殻を地面に沈ませた。
痙攣が全身を襲っている。
しかし、油断は出来ない。
一撃で仕留めるには、様々な好条件が重ならなくてはいけない。この蟲もまだ死に至るダメージではないだろう。
瀕死の蟲が、どのような行動に出るか。
蒼生は三年前の幼虫との邂逅や、ここ最近の実験で痛感していた。
ーーヒトの脳を破壊する『死の波動』の発動。
殺傷範囲が広く、防ぎようのないこの攻撃だけは、させるわけにはいかない。
ここからは時間との戦いでもある。
すぐさまバレル・アッセンブリーを前進させ、
爆発音で、蟲の聴覚が無効化している数十秒の間に、狙撃場所を変える。
蒼生は横たえていたリュックを持ち上げ駆け出した。
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凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» 読んでくれてありがとう〜////次回から蒼生の戦いだよお！ (2017年9月16日 12時) (
レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 蒼生クンの小さな背中に使命を感じつつも、室長にとってはもどかしさが伝わる空気……(*;ﾟ;艸;ﾟ;)途中まで読めて無くて、今日になってやっとこさ読めた〜〜〜ﾟ+.ﾟ(´▽`人)ﾟ+.ﾟ (2017年9月15日 16時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» きゃああ！ごめん、遅くなって〜〜！ヽ(；▽；)ノというか、雛雪さん自体が久しぶり��(ﾟДﾟ)あわわ...！ありがとう〜！ (2017年7月30日 15時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 続き待ってました〜〜〜(*;ﾟ;艸;ﾟ;)ｱﾜﾜ…VRメガネ掛けていたい程の風景が……戦慄がリアル〜〜〜((( ；ﾟДﾟ)))ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ (2017年7月30日 14時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - Ａｋｋｉｙさん» わああ！Ａｋｋｉｙ、久々だぁ！ヽ(；▽；)ノ続編来てくれてありがとう！臨場感...今後も出せるように頑張るよぉ！( ´ ▽ ` )ﾉ (2017年3月23日 21時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
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