【SF巨大生物】R E D ー僕が世界を救うその日までー【オリジナル】

侵攻 ページ8

人類にとって、それはあまりに信じがたい光景だった。

だが予兆(よちょう)はあったのかもしれない。
世界中でマグニチュード8強の地震が頻発(ひんぱつ)していたからだ。


ー2015年9月X日。

突如地中から現れた巨大な昆虫の群れにより、僅か七日で世界は壊滅(かいめつ)的な
被害を受けた。


ドイツの昆虫学者は、フランツ＝カフカの小説『変身』の主人公である、グレゴール＝ザムザの
名前を借り、この生物を、巨大蟲(きょだいちゅう)《ザムザ》と名付けた。

《ザムザ》は、体長十メートル、さらに巨大なものは二十メートルの体躯(たいく)、
黒い甲殻に、赤い三つの単眼、大振りで鋭い顎を持っていた。


《ザムザ》侵攻により、道路が割れ、ビルや家屋は倒壊し、繁栄(はんえい)した都市の面影は
どこにも見当たらない。

凄(すさ)まじい破壊力だった。


それだけではない。


近づいた者は逃げる事も叶わず、目や鼻、耳から出血し、倒れ、絶命したのである。

原因は現在も不明のままである。


そして、何より人々が恐れたのは、《ザムザ》が人間を襲い喰らう事だった。
餌食(えじき)となった者達は、骨の欠片(かけら)も残らなかった。


また、政治経済を担(にな)う主要国の損害は特に著しかった。

多くの国が軍隊の所有有無に関わらず協定を結び、人類存続の危機を乗り越えるべく
《巨大蟲ザムザ討伐(とうばつ)軍》及び、《生態調査研究機関(せいたいちょうさけんきゅうきかん)》が各国で発足(ほっそく)された。



ー2016年5月。

巨大蟲《ザムザ》侵攻(しんこう)より八ヶ月。

未だ調査は難航(なんこう)し、討伐成功の例は皆無(かいむ)である。

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