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先ほどの茂みが見える辺りまで戻ってきた。

ふと思い出して頰を指先で撫でると、ぬるぬると気持ち悪い感触がする。

指に付着したそれは、少し粘着性がある白い体液のようだった。
皮膚(ひふ)に異常は無く、臭いも無臭に近い。


まずは、あいつがいるか確認しなければ。

最初見た場所に立ち、小さく深呼吸してから、茂みの向こうを覗いた。


いる。


見たことの無い巨大な昆虫。
黒光りした甲殻(こうかく)
大きな顎。

変わらない姿が、そこにあった。


だが、先ほどとは明らかに様子が違う。

ギチギチと奇妙な音を立てながら、口から白い体液を吐き出し、頭や脚は不規則な痙攣(けいれん)を繰り返していた。


衰弱(すいじゃく)している。


原因は解らないが、瀕死(ひんし)の状態なのは間違いない。
断末魔(だんまつま)の攻撃を繰り出す直前に限界が訪れた。
そういう事なのだろう。


彼は、この謎の生物が動かなくなるまで、じっと観察を続けた。

最期は数回大きく痙攣(けいれん)し、地面にうずくまるようにして全ての活動が停止した。


(死んだ・・・)


彼は黒い塊に近づき触れてみた。
とても固く、土で汚れた甲殻(こうかく)だった。


(解剖(かいぼう)には時間がかかりそうだ)


頭と腹の節目から()がせないかと手順を考え始めた時だった。


蒼生(あおい)!」


父の声で我に帰った。
登山道の入り口辺りで捜しているらしい。
すっかり忘れていた。


(どうしよう・・・)


父さんや母さんに話す?
いや、駄目だ。
いくら僕の性格を理解していても、普通の人間の神経の持ち主なら、こんなものを家に
持ち込むなんて、絶対に反対するだろう。

『普通の』と考えて、少し可笑しくなった。


じゃあ僕は何なのだろう?


サミーなら理解してくれるかもしれない。

潜伏→←決意



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設定タグ:オリジナル , SF , 巨大生物   
作品ジャンル:SF, オリジナル作品
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凪沙(プロフ) - 沙羅さん» ありがとぉ沙羅!o(≧▽≦)o この先視点が色々になるからね、ゴチャゴチャしないように頑張る〜!戦車まだまだ出るよ〜(笑) (2017年1月29日 23時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 戦車出た〜!!(≧▽≦)ガルパン好きな私としてはテンション上がる〜!すごく想像できるよ(笑)いよいよ戦闘が始まったね!蒼生くんの登場も楽しみにしてる〜♪ (2017年1月29日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» コメントありがとう!やっと戦闘めいてきたけど、人類ヤバイです(>_<)ドキドキしてもらえるように頑張る〜! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 全人類に成す術は在るのか………ヽ(;゚;Д;゚;; )!!めちゃめちゃ凄いSFの醍醐味になってきたよ〜〜〜Σ(・∀・|||) (2017年1月29日 20時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 桜吹雪さん» 桜吹雪さん、読みに来ていただいて嬉しいです!ヽ(;▽;)ノ感想まで...ありがとうございます!今後も頑張りますねっ♪イベント参加させて頂き、ありがとうございます(≧∇≦) (2017年1月29日 18時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凪沙 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年3月16日 8時

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