【SF巨大生物】R E D ー僕が世界を救うその日までー【オリジナル】

隊列 ページ44

どこまで俺の邪魔をするんだ！

あの蟲め！



まさか・・・もう基地に侵入されたのだろうか。


「室長・・・！！」

「室長っ・・・！巨大蟲が！？」

「ああ！皆、落ち着け！！」


警報が鳴った場合、研究員は基地後方の避難施設に集合する事になっている。


「避難場所は解るな！？こっちだ、急げ！！」


慌てふためく部下達の背中を押し誘導する。

俺は皆とは逆方向に踵を返し走り出した。


「室長！？どこに行くんです！？」

「家だ！友人を残して来てる！大丈夫だ、行け！！・・・皆、死ぬなよ・・・！！」

「は・・・はい！！室長も・・・！」


部下が再び駆け出すのを見送ってから、俺も自宅へと向かった。

蒼生を独り残してきた心配もあるが、この警報を聞いたあいつが黙って待っているだろうか。



嫌な予感を振り払いながら、俺は自宅へと急いだ。









外に出ると、基地内は物々しい空気に包まれていた。



キャタピラーで砂埃を巻き上げながら、戦車が列になり、正門へ向かっている。

その後方には、緊張した面持ちの兵士達が、隊列を組み戦場へと歩を進めていた。



隊長らしき兵士が、俺の姿に気づき近づいて来る。


「杏里室長ですね？早急に避難してください！ここも危険です！」


俺は見覚えがないが、向こうは知っているらしい。
昨日の会議にも出席していたのだろうか。


四十代前半くらいの、好感が持てる人物だった。



真面目で実直そうな顔立ち・・・。

俺とは正反対の印象に違いない。


「家に知り合いを残して来てて・・・一緒に連れてすぐ行きます！敵は・・・すぐ側に？」

「ええ。およそ五キロ地点で姿を確認し、現在もこちらに接近してます」

「・・・五キロ」


基地を囲む壁を振り返った。

昨日、間近で見たあの巨体が、今にも壁を破壊し侵入してくる映像が頭に浮かぶ。


「宮本隊長！第二部隊が配置に着いたとの報告です！」

「了解！我々も急ぐぞ！」


無線機を持った兵士の言葉に頷いてから、宮本隊長は俺に敬礼した。


「杏里室長。お気をつけて」

「宮本隊長、あなたも」

「我々には二階堂総司令がついてる。必ず食い止めてみせます！」


宮本隊長は努めて明るく言い残し、持ち場へと向かって行った。

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