恐ろしい憶測 ページ41
トラヴィスは《ザムザ》襲来以降、討伐軍に手を貸していたという事だろうか。
私は彼らに研究室の設備や人員、調査状況の報告をした。
しかし、研究室内の案内は結構だという。
おかしいではないか。
研究機関統合の名目で来ていながら、研究室はおろか室長にすら会わずに帰るつもりなのか。
私が問いただすとマッキンリーは、『我々は本部最高責任者の命令で動いている。ミスター二階堂、君が詮索する必要はない。ただし協力はしてもらう。この周辺の危機レベルを示したマップと、ヘリを用意してもらおう』・・・
そう言って、ロウとトラヴィスを連れ、部下の操縦で上空からの偵察へ向かったのだった。
今にして思えば、あれは我が国への核投下地区を探っていたのかもしれない。
そして統合という名目で日本に居を構え、核攻撃の準備を行うつもりなのではないか。
私は知らず知らずの内に、故郷を滅ぼす手引きをしたのではないのだろうか・・・。
視察から一週間後、統合決定の連絡が入った。
私は統合の真意を確かめるべく、本部に抗議したが『決定事項だ』の一点張りで取りつく島も無かった。
そして、昨日ー。
あのメールを受け取った私の心中は穏やかではない。
恐ろしい憶測が現実味を帯びて来ている。
最早、核を回避するには《ザムザ》の討伐成功しかない。
成功例は無くとも、確実性のある有効手段の発見でもいい。
核攻撃は不要だと訴えるための、大きな材料になるからだ。
今回の死骸発見で状況が進展する事を期待したが、それも無駄に終わった。
私は今まで、迷う事無く組織を先導してきた。
酷な命令も犠牲も、国のため・・・ひいては家族のために成ればこその判断だった。
しかし、生き延びるために国を捨てる事が正しい道なのだろうか。
慣れない環境へ逃避した後も、結局命を危ぶまれる生活は続く。
もしもー。
来月の決議会談で、日本への核投下が濃厚になる運びになるような事があれば・・・。
その時、私は・・・。
「二階堂総司令官!!第一部隊隊長、宮本です!」
激しく叩かれたドアの音で、私は我に帰った。
「入りたまえ」
薬瓶を鞄にしまい、姿勢を正して招き入れる。
「失礼します!B地区南西部、座標S−1−58にて二体の巨大蟲が出現!現在基地に向かって進行中です!」
「S−1−58・・・だと!?すぐ側ではないか・・・」
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凪沙(プロフ) - 沙羅さん» ありがとぉ沙羅!o(≧▽≦)o この先視点が色々になるからね、ゴチャゴチャしないように頑張る〜!戦車まだまだ出るよ〜(笑) (2017年1月29日 23時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 戦車出た〜!!(≧▽≦)ガルパン好きな私としてはテンション上がる〜!すごく想像できるよ(笑)いよいよ戦闘が始まったね!蒼生くんの登場も楽しみにしてる〜♪ (2017年1月29日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» コメントありがとう!やっと戦闘めいてきたけど、人類ヤバイです(>_<)ドキドキしてもらえるように頑張る〜! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 全人類に成す術は在るのか………ヽ(;゚;Д;゚;; )!!めちゃめちゃ凄いSFの醍醐味になってきたよ〜〜〜Σ(・∀・|||) (2017年1月29日 20時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 桜吹雪さん» 桜吹雪さん、読みに来ていただいて嬉しいです!ヽ(;▽;)ノ感想まで...ありがとうございます!今後も頑張りますねっ♪イベント参加させて頂き、ありがとうございます(≧∇≦) (2017年1月29日 18時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
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