弱点 ページ36
「だって震度計持ってたでしょ?それに僕だって調査の途中だったけど、杏里達が来たから仕方なく隠れたの!あいつら頭もいいんだ。仲間の死骸、食べたでしょ?こっちに自分達の情報を渡さないつもりなんだ。だから他の
唇を尖らせて言う。
そうだ。
すっかり後回しになってしまっていたが、最も重要な事を聞いていなかった。
「すまん。俺も仕事だったんだ。今なら邪魔しないさ。でもどうやってあの《ザムザ》を倒したんだ?何か弱点があるのか?お前が描いた幼虫の解剖図を見ても、さっぱりなんだ」
両手を広げてみせる。
俺の態度を横目でチラリと確認した蒼生は「ふうん」と素っ気ない返事をしてきた。
「なんだ、怒ったのか?お前が姿を現せない事はわかっているさ。悪かったよ。・・・《ザムザ》の弱点、教えてくれないのか?」
問い掛けにしばし無言で頬を膨らませていたが、やがて大きな溜め息と共に「音だよ」と呟くのが聞こえた。
「音が弱点なのか?《ザムザ》も音を使った攻撃や交信をしているんだよな?」
蒼生の頬はまだ少し膨らんだままだったが、どうやら話す気になったらしい。
「そうだよ。良すぎる耳を逆に利用してやるんだ。杏里、安心してよ。解剖図だけじゃ答えは出ないだろうから」
「そうか・・・目には目をってやつだな。それで・・・?」
どことなく一言多い気もするが、そこは大人らしく寛大に聞き流す。
「まず脳波形を観測するために、幼体の死骸の脳に微弱な電流を流して活動状態を再現したんだ。その時に収集したデータから、《ザムザ》にも不快音がある事がわかったの」
「不快音?」
「人間にもあるでしょ?硝子や黒板を引っ掻く音とか。その音を軸に、色んな波長の音を組み合わせて増幅させて・・・《ザムザ》の脳細胞を破壊する効果がある超音波を作ったんだ」
蒼生はカップの縁をスプーンで叩き、コーヒーに波紋を浮かばせた。
「つまり・・・その音を聞かせれば、《ザムザ》は死ぬ・・・」
「うん。ただ聞かせればいいって訳じゃないけどね。スピーカーみたいに拡散された音じゃ駄目なんだ。大変だったよ。簡単にはいかなかったけど、昨日の実験は成功したんだ」
なるほど、それがあのB地区の死骸という訳だ。
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凪沙(プロフ) - 沙羅さん» ありがとぉ沙羅!o(≧▽≦)o この先視点が色々になるからね、ゴチャゴチャしないように頑張る〜!戦車まだまだ出るよ〜(笑) (2017年1月29日 23時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 戦車出た〜!!(≧▽≦)ガルパン好きな私としてはテンション上がる〜!すごく想像できるよ(笑)いよいよ戦闘が始まったね!蒼生くんの登場も楽しみにしてる〜♪ (2017年1月29日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» コメントありがとう!やっと戦闘めいてきたけど、人類ヤバイです(>_<)ドキドキしてもらえるように頑張る〜! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 全人類に成す術は在るのか………ヽ(;゚;Д;゚;; )!!めちゃめちゃ凄いSFの醍醐味になってきたよ〜〜〜Σ(・∀・|||) (2017年1月29日 20時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 桜吹雪さん» 桜吹雪さん、読みに来ていただいて嬉しいです!ヽ(;▽;)ノ感想まで...ありがとうございます!今後も頑張りますねっ♪イベント参加させて頂き、ありがとうございます(≧∇≦) (2017年1月29日 18時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
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