【SF巨大生物】R E D ー僕が世界を救うその日までー【オリジナル】

遭遇 ページ4

「あっ！」


彼は息を呑んだ。


そこには、見たことのない生物が潜(ひそ)んでいた。

姿はハンミョウやシデムシといった甲虫(こうちゅう)類に近いのだが、問題はその大きさである。

体長五十センチはあるだろうか。
まるで黒い塊のようなその生物は、異様な音を立てながら、彼の方へじりじりと
詰め寄ってくる。


頑丈(がんじょう)そうな黒い甲殻(こうかく)。
クワガタを思わせる大振りな顎。
複眼(ふくがん)は無く、赤色の単眼(たんがん)が三つ、頭の中央にある。


頭、胸、腹が区別でき、脚が六本あるということは、恐らく昆虫の部類に属(ぞく)するのかも
しれないが、記憶している中のどれにも当てはまらなかった。


そして、この音。

一見、翅(はね)らしきものは見当たらないが、羽音(はおと)か鳴き声なのだろうか。
さっきよりも一層酷(いっそうひど)い。
頭が割れそうに痛む。

ひょっとして威嚇(いかく)音かもしれないと、考えを巡(めぐ)らせた時である。


突然、プツリと糸が切れたように音が止んだ。


静寂(せいじゃく)が訪れたその刹那(せつな)。

彼の視界は、ぐにゃりと歪(ゆが)み、地面に崩れ落ちるようにして倒れてしまった。


「な・・・に・・・・？」


何が起こったのか考える暇もなく、続いて襲ってきた猛烈(もうれつ)な吐き気と、脳が沸騰(ふっとう)するような気味の悪い感覚に、頭を抱え身をよじる。

焦点(しょうてん)が定まらず、もやがかかったような彼の視界に、黒い物体が映った。


(きっと・・こいつが・・・何かしたんだ・・・)


彼の小さな顔の上で、黒光りする大顎が鋏(はさみ)のように開かれた。


(まさか・・・僕を・・・！？)


視界が暗転し、気を失いかけたその時、頰(ほお)に生温かい液体が落ち、彼の意識を現実へと
引き戻した。

決意→←謎の音

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