悪夢 ページ29
ー・・・見渡す限りの砂漠。
砂に埋もれたビルがあちこちに見える。
ここは・・・俺はどこにいるんだ?
当てもなく歩いた。
突然聞こえてくる
地面だ・・・!
地中から聞こえてくる!!
逃げるんだ!!
俺は走った。
だが砂に足を取られて思うように走れない。
それどころか地面が揺れている。
地震!?
いや、違う・・・アイツだ・・・!!
地面が盛り上がり巨大な砂の滝が出現した。
流れ落ちる砂の中に、黒光りする
《ザムザ》だ!!
次の瞬間、奴の鋭い
ドクドクと赤黒い血が、腹を押さえた俺の手の指の隙間から溢れ出てくる。
ああ・・・俺は喰われるんだ。
仰向けに倒れた俺に覆い被さるように《ザムザ》の感情の無い顔が覗く。
クソ・・・ここまでか・・・
《杏里!!》
薄れゆく意識の中で声が聞こえた。
《大変だ!!》
そう・・・俺は今・・・大変なんだ。
《杏里!!起きてよ!》
誰か助けに・・・来てくれたのか?・・・ー
恐る恐る目を開く。
そこに《ザムザ》の顔は無かった。
白い天井だ。
身体が揺れている。
横に顔を向けると蒼生が俺の腕を掴んで揺さぶっていた。
息をつき、汗ばんだ額に手を当て起き上がる。
夢だったのか・・・。
「杏里、大変なんだ!!」
サイドテーブルにあるデジタル時計を見る。
《AM 07:11》
昨日から俺にしては健康的な生活を送っている。
「どうしたんだ、こんな朝から」
「あれ見て!早く来てよ!!」
その場で足踏みしながら俺の顔とパソコンを交互に見ている。
パソコン・・・そうだ!
ようやく俺の頭が働く気になったらしい。
「俺もお前に聞きたい事が山ほどあるんだ」
「今は僕が先!!」
ブンブンと激しく首を振り却下されてしまった。
仕方ないので、言われるままモニターを覗いた俺はぎょっとした。
トップシークレット・・・
それも、軍上層部の限られた人間しか閲覧出来ない画面が表示されていたからだ。
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