【SF巨大生物】R E D ー僕が世界を救うその日までー【オリジナル】

可能性 ページ26

「ねえ、杏里のおじさん。僕は《ザムザ》が完全変体する昆虫じゃなくて、ホッとしたんだ。だって、蛹(さなぎ)の中で何が起こるか知ってる？今までの体がドロドロに溶けて、全く新しい姿に形成されて羽化するんだよ。体内器官の位置だって、変わっちゃうんだもん。でもね・・・！」



蒼生の目が輝きだした。


『世界を救う』と言った時と同じ、あの目だ。


「僕の知識と調査結果から導き出した答えだと、《ザムザ》の幼虫は《不完全変体》して成虫になるんだ。そして体内器官が変化しない確率は98パーセント！これ、どういう事かわかるよね！？」

「・・・・ああ」

「僕は三年も前に、あの巨大な昆虫の解剖図を手に入れてるって事なんだ！！」








俺はこの少年を信じて良いものかどうか迷っていた。

信じるという事は、《ザムザ》を倒したという、にわかには信じがたい話も真実だと認める事に繋がるからだ。



「・・・ひとつ聞きたいんだが」

「なに？」

「お前の考えが正しいなら、残り2パーセントは何なんだ？」



蒼生は悪戯(いたずら)っぽい笑みを浮かべ、嬉々(きき)として答えた。



「事象に絶対なんてない。未知数だから面白いんだよ！」



俺は研究者としての自分を恥ずべきかもしれない。

信じる、信じないは問題ではない。



俺を足踏みさせているのは何だ？

子供だからか？



だったらこの目で確かめてみればいい。



まったく、『新たな可能性を見い出す事も出来る』なんて台詞、俺はどの面下げて言ったんだ。


可能性なら今、俺の目の前にぶら下がっている。

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