僕には聞こえる ページ22
「それにしても、赤いローブまで着て随分凝ったヒーローごっこだな」
「違うよ。あいつら赤は見えないから」
「・・・ああ、そう」
普通に話が通じると思ったら、すぐこれだ。
「送っていってやるから。家は?それとも施設か?」
蒼生は首を横に振る。
「施設は2ヶ月に出たんだ。準備が出来たから。今はD地区にいるの」
「D地区・・・!?おい・・大人をからかうのもいい加減にしろよ!!」
「嘘じゃないよ。だって、あいつらの近くにいる方が生態観察に便利なんだもん。それに声で位置とかわかるし」
「声・・・?《ザムザ》の鳴き声なんて俺は・・・いや、誰も聞いたことないだろ・・?」
蒼生は不思議そうに首をかしげ、言った。
「ほんとに何も知らないんだね」
「・・・ああ、そうだな」
下手に付き合うと、また意味不明な答えが返ってきそうなので、適当に相づちをうつ。
その真意を知ってか知らずか、
「ふふっ、おじさん」
「何だよ、にやにやして」
蒼生は杏里の耳元で囁いた。
「僕が教えてあげようか?」
ガタンと椅子を鳴らしながら勢い良く立ち上がると、俺の手を引き、
「これだよ!!」
蒼生は窓を開け放った。
だが、そこにあるのは、絵にもならない風景と、夜風が吹き抜けていくだけだった。
「何も無い・・・ぞ?」
「あ、そっか。おじさん、何歳なの?」
「ああ?・・・32だが」
「ふふっ。僕は『子供』だから。うるさいほど聞こえるんだ。《ザムザ》の声」
・・・・・ああ!!
俺はまるで、背中に電流を流されたようだった。
「まさか・・・!」
「モスキート音。《ザムザ》の声は1万7千ヘルツの高周波。波長やパターンを変えて、仲間同士の交信にも使うんだよ」
俺は思わず鉄格子を掴み、風の音しか聞こえてこない外に、必死に耳をすます。
「子供には聞こえて、大人には聞こえない音。だから僕には《ザムザ》の居場所がわかるんだ。でも、パターンの分析には時間がかかっちゃった。D地区に行って、初めて解読した声もたくさんあったし」
蒼生は窓辺に腰掛け、床に届かない足をぷらぷらさせながら、説明している。
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凪沙(プロフ) - 沙羅さん» ありがとぉ沙羅!o(≧▽≦)o この先視点が色々になるからね、ゴチャゴチャしないように頑張る〜!戦車まだまだ出るよ〜(笑) (2017年1月29日 23時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 戦車出た〜!!(≧▽≦)ガルパン好きな私としてはテンション上がる〜!すごく想像できるよ(笑)いよいよ戦闘が始まったね!蒼生くんの登場も楽しみにしてる〜♪ (2017年1月29日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» コメントありがとう!やっと戦闘めいてきたけど、人類ヤバイです(>_<)ドキドキしてもらえるように頑張る〜! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 全人類に成す術は在るのか………ヽ(;゚;Д;゚;; )!!めちゃめちゃ凄いSFの醍醐味になってきたよ〜〜〜Σ(・∀・|||) (2017年1月29日 20時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 桜吹雪さん» 桜吹雪さん、読みに来ていただいて嬉しいです!ヽ(;▽;)ノ感想まで...ありがとうございます!今後も頑張りますねっ♪イベント参加させて頂き、ありがとうございます(≧∇≦) (2017年1月29日 18時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
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