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事実 ページ15

ゲートを通過する装甲車(そうこうしゃ)の後ろ姿を見送ると、杏里は騒いでいる人々の方へ向かった。


「何度も説明している通り、そのような事実はありません!我々は隠蔽(いんぺい)などしていません・・・!」


見張り兵が大声で何か説明している。


「君、何があったんだ」


杏里の問い掛けに、民間人が一斉に振り向いた。
見張り兵は杏里に駆け寄り、耳打ちする。


「この方達が、軍は情報を隠蔽(いんぺい)していると・・・」


まったく予期せぬ返答に杏里は眉をひそめた。


「何の情報をだ?」

「それが・・・。軍は《ザムザ》討伐(とうばつ)に成功した・・という情報をです」


躊躇(ためら)いがちに語った見張り兵の表情は困惑に満ちている。
俺も同じ表情をしているに違いない。

確かに死骸は見たが、軍による攻撃は一切無かったと聞いているし、その痕跡(こんせき)も無かった。


「あなたも軍の関係者だな?私は藤崎という者だ。確認したい事があるんだが」


そう言って近づいてきたのは、死骸発見者の男だった。


「ちょうど良かった。僕もあなたに直接聞きたかったんですよ。死骸発見時の状況をね」

「そう、そこなんだよ。私が軍にしっかりと説明して欲しいのは」

「どういう事です?私は、あなたが双眼鏡で死骸を発見し、軍に通報したと報告を受けてますが」


藤崎と名乗った男は、真っ直ぐに杏里の目をとらえたまま、ゆっくりと首を振る。



「私が見たのは《ザムザ》の死骸だけじゃない」




今しがた死骸を見て来たばかりだが、この男の言わんとしている事がまったくわからなかった。

藤崎は話を続ける。


「あの時私が見た蟲は、まだ生きていた。やはり無謀(むぼう)な行為だったと、妻の遺品(いひん)はあきらめて戻ろうとした時だ。赤い・・・あれは、ローブだ。赤いローブを(まと)った人間が現れて・・大型の銃を《ザムザ》に向けた。次の瞬間、私は目を疑ったよ。《ザムザ》が苦しみ出し、そして・・・・息絶えた」


赤い・・ローブ。
何か引っかかるものがある。


しかし、信じがたい話だ。
どんな武器攻撃も効かなかった敵だ。

ましてや、一人で《ザムザ》を倒すなんて事・・・。

二階堂 仁→←帰還



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設定タグ:オリジナル , SF , 巨大生物   
作品ジャンル:SF, オリジナル作品
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凪沙(プロフ) - 沙羅さん» ありがとぉ沙羅!o(≧▽≦)o この先視点が色々になるからね、ゴチャゴチャしないように頑張る〜!戦車まだまだ出るよ〜(笑) (2017年1月29日 23時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 戦車出た〜!!(≧▽≦)ガルパン好きな私としてはテンション上がる〜!すごく想像できるよ(笑)いよいよ戦闘が始まったね!蒼生くんの登場も楽しみにしてる〜♪ (2017年1月29日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 雛雪。さん» コメントありがとう!やっと戦闘めいてきたけど、人類ヤバイです(>_<)ドキドキしてもらえるように頑張る〜! (2017年1月29日 22時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)
雛雪。(プロフ) - 凪沙さん» 全人類に成す術は在るのか………ヽ(;゚;Д;゚;; )!!めちゃめちゃ凄いSFの醍醐味になってきたよ〜〜〜Σ(・∀・|||) (2017年1月29日 20時) (レス) id: 083e971712 (このIDを非表示/違反報告)
凪沙(プロフ) - 桜吹雪さん» 桜吹雪さん、読みに来ていただいて嬉しいです!ヽ(;▽;)ノ感想まで...ありがとうございます!今後も頑張りますねっ♪イベント参加させて頂き、ありがとうございます(≧∇≦) (2017年1月29日 18時) (レス) id: 69c3a15575 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凪沙 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年3月16日 8時

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