クマのぬいぐるみと哀しい子_1 ページ10
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ウール孤児院で働き始めて3カ月。Aの何気ないおしゃべりは相変わらずトムには無視され続けていた。
転機が訪れたのは、そんなある日のこと。いつも通り孤児院に出勤したAの耳に、トムの部屋から揉めるような声が聞こえてきた。
「お前は化け物だから親に捨てられたんだよ！」
激しい物音と「ほら！や、やっぱり化け物だ！」と悲鳴混じりの声が聞こえたのは同時だった。
慌ててドアを開けたAの目に飛び込んできたのは、トムを化け物だと罵ったであろう少年めがけて椅子が飛んでくる瞬間だった。Aは恐ろしさから硬直している少年の腕を引き、飛んでくる椅子の前に飛び出した。
左目に灼熱が走る。椅子を受け止めようとしたが、間に合わなかったらしい。左目を押さえた指の隙間からポタリと鮮血が床に落ちた。流れ落ちた血を見た瞬間、まるで体が痛覚を思い出したかのように激しい痛みがAを襲う。Aは痛みに耐えるように、もう片方の手を固く握り締めた。一度、深呼吸すると椅子から庇った少年の方に目を向ける。
「怪我はない？」
次から次へと流れ出るAの血を前に、少年は何度も頷いた。少年は顔面蒼白になっている。血に濡れたAの姿はさぞ恐ろしいことだろう。かわいそうだとは思うが、この子に言って聞かせるには今しかない。
「トムの暴力はどんな理由があっても許されないことよ。でもね、あなたはトムに言ってはいけないことを言ったの」
真っ赤に染まるAの左手を見て、とうとう少年は泣き出した。
「泣かずにちゃんと聞きなさい」
Aは右手で少年の涙を拭った。
「トムだけじゃない、誰にだって化け物だなんてひどいことを言ってはいけない。もしも、あなたが誰かに同じことを言われたら傷付くでしょう？それは暴力と変わらないのよ」
「ごめん、なさい……ごめんなさい……もう言いません」
「私じゃなくてトムに謝りなさい」
「でも……でもあいつが」
「トムでしょ」
「トムが、僕の宝物を隠したんだもん。お母さんが、お母さんが僕に買ってくれたのは、あのぬいぐるみだけなのに！」
少年の言葉を聞いて、Aはトムを振り返った。トムにしては珍しくどこか焦った表情で、Aの血に濡れた目元を凝視していた。
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マニ。(プロフ) - くろさわさん» ✉️。有難うございます、忙しい中嬉しいです。あのくろさわさんのボードに返事送りましたのでボード返事お待ちしています。 (1月21日 21時) (
レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - マニ。さん» お誘いありがとうございます。リアルが忙しくて返信に時間がかかってしまいそうですが、それでもよければ話しましょう！ (1月21日 20時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - くろさわさん» ✉️。こんにちは！とても面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます💖 (1月21日 16時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - 天天さん» 嬉しいお言葉の数々ありがとうございます！作品を好きになってくださりすごく嬉しいです！これからも頑張りますね。 (5月4日 21時) (レス) id: cf8b940453 (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 大っ好きです。夢主さんがとても優しくて感動しました。細かい心情表現や創造力が大好きです。続き楽しみにしてます！これからも応援してます。 (5月4日 13時) (レス) @page11 id: c861e4568e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろさわ | 作成日時：2023年1月29日 23時
