拝啓アブラクサス様_2 ページ5
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「時間があるときにでも返事をくださいって書くと……やっぱり迷惑、よね」
マルフォイ家を出て2年。
アブラクサスに送った手紙の回数はもう覚えていない。数多く出した手紙の返事は一度も届いたことがない。
それがアブラクサスのAへの気持ちだということは明白なのに、手紙を送ることをやめられない。
年の離れた弟は、社交界で忙しい両親よりもAと共に過ごす時間の方が多かった。
産まれたてのヒヨコのように、いつもAの後を付いて回っていたことが、つい昨日のことのようだ。
居心地の悪い家の中で、唯一Aの心が安まる存在。それが、アブラクサスだった。
『早く大人になって、僕が絶対に姉さまを守るから……だから、いなくならないで……お願い……！』
アブラクサスはAに多くの幸せを与えた。それなのに、Aはアブラクサスのたった一つの願いさえ叶えることが出来なかった。
Aが出来る唯一のことは、アブラクサスにAという名の重荷を背負わせないために、別れを告げることだけだった。
それが、叶えられない願いへの贖罪であり、Aが弟に与えられる最後の愛情だった。なのに、Aにはそれさえも許されなかった。
アブラクサスがホグワーツに入学した夜、両親から勘当を告げられたのだ。Aはアブラクサスに一言も残せないまま家を出ることになった。
両親に恨みはない。世間の目が厳しいなか、17年間も家に置いてくれたことに感謝している。
ただ、アブラクサスに何も言えず別れたことが悔しくて……悲しくて……。
ポタリと雫が落ちてきて、手紙を濡らした。落ちた雫を追うように、また一つ雫が零れる。
「会いたい……アブラクサスに、会いたい……！」
生涯一度きりでいい。
アブラクサスに会って、そして、Aの口から『ありがとう』と『さよなら』を伝えたい。
Aは自嘲するような薄笑いを浮かべた。
それが儚い夢であることは、アブラクサスの手紙を待ち続けるAが一番理解している。なのに、淡い期待を捨て去ることが出来ない。現実から目を背けて、叶わぬ願いに縋る醜悪な様に笑ってしまう。
Aは力なく視線を落とした。インクが滲む手紙はひどい有様だった。
アブラクサス宛ての手紙を一度で書けた試しがない。いつも深い悲しみと孤独感に苛まれ、手紙を濡らしてしまうのだ。
「ああ……また、書き直さなくちゃ」
一人きりの部屋に、Aの涙に濡れた声が響いた。
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マニ。(プロフ) - くろさわさん» ✉️。有難うございます、忙しい中嬉しいです。あのくろさわさんのボードに返事送りましたのでボード返事お待ちしています。 (1月21日 21時) (
レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - マニ。さん» お誘いありがとうございます。リアルが忙しくて返信に時間がかかってしまいそうですが、それでもよければ話しましょう！ (1月21日 20時) (レス) id: 107fffb2fc (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - くろさわさん» ✉️。こんにちは！とても面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます💖 (1月21日 16時) (レス) id: c4b8377817 (このIDを非表示/違反報告)
くろさわ(プロフ) - 天天さん» 嬉しいお言葉の数々ありがとうございます！作品を好きになってくださりすごく嬉しいです！これからも頑張りますね。 (2023年5月4日 21時) (レス) id: cf8b940453 (このIDを非表示/違反報告)
天天(プロフ) - 大っ好きです。夢主さんがとても優しくて感動しました。細かい心情表現や創造力が大好きです。続き楽しみにしてます！これからも応援してます。 (2023年5月4日 13時) (レス) @page11 id: c861e4568e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くろさわ | 作成日時：2023年1月29日 23時
