3 sideK ページ9
はぐれた。
そう思ったときには当然ながら近くにAの姿はなかった。
白いコートを探せばいい、と簡単に思うかもしれないが、行きかうプレーヤーの中白色を探すのは意外と難しい。
とりあえず来た道を戻る。
Aの事だから人の少ないところにいると考え、大通りから少し外れた通路に入った。
そこで目にしたもの。
「、A・・・・?」
Aと見知らぬ男性プレーヤーのキスシーン。正確には、Aが男の頬にキスしている場面に出くわした。
口から漏れた声に反応し、Aが振り返った。
「すみません、はぐれてしまって」
はぐれてなんでこんな事になっているんだ、という問いはなんとか飲み込んだ。
Aが男に何かを告げ、俺の腕を引いた。
誤解だ、とAは言うけれど、やっぱりそう思ってしまうのは仕方のない事で。
「相手が‘口にしてくれ’・・って言ったら、そうするのか・・・・・?」
「所詮相手もデータの塊なので抵抗は少ないですね。状況にもよりますけど、それで逃げられるならそうすると思います」
一瞬、胸に黒い靄が生まれた。それが何なのかをわからない程、馬鹿じゃない。
「A、もう絶対離れるなよ」
「その努力はいつもしてます。本能で足が人ごみから逃げるんですよ」
この言葉は半分以上本気で言ったのだろう。これまでの経験から、Aの人ごみ嫌いは筋金入りだということはわかっている。
「あ、じゃあこうしましょう。これならはぐれません」
「えっ、あ」
「・・・・だめ、ですか?」
右手にわずかな温もりが伝わる。
若干上目遣いになっていることは、多分本人は気づいていない。
「無自覚って色々怖い・・・・」
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菓豆(プロフ) - 夜風さん» コメントありがとうございます。頑張ってカルマの小説も更新しないとですね (2015年4月5日 13時) (レス) id: edc29e4d3f (このIDを非表示/違反報告)
夜風 - お帰りなさいです!カルマ君の小説、読ませていただきました!とても面白かったし、何より夢主ちゃんがかっこよかったです!更新頑張って下さい! (2015年4月5日 13時) (レス) id: 2e25d02f53 (このIDを非表示/違反報告)
菓豆(プロフ) - 紫芋さん» ただいまですっ!!実は旅行中ずっとこの小説の事考えてました(笑) (2015年4月5日 12時) (レス) id: edc29e4d3f (このIDを非表示/違反報告)
紫芋(プロフ) - 菓豆さん(旅行から)お帰りなさい!これからも、菓豆さんの作品見させて頂きます!頑張ってください(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年4月5日 11時) (レス) id: 262404c03e (このIDを非表示/違反報告)
菓豆(プロフ) - 優さん» コメントありがとうございます。ご意見、ご感想等何回でもコメント下さい!! (2015年4月5日 10時) (レス) id: edc29e4d3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菓豆 | 作成日時:2015年3月15日 20時