*340話「蓋をしたい」 ページ24
好奇心のない真剣な目に、
ただ心配してくれてるのがわかり、息を飲む。
壁に寄りかかりながら、答える。
「......あった」
「なにが」
「でも、言わないよ」
被せて言えば、怪訝そうに眉をひそめた蛍君。
それに肩をすくめ、空をあおぐ。
今日も憎いくらいの晴天だ......。
「自分の中で整理がついてないの」
「......」
「なんであんなことをしてしまったのか。
自分で自分がわからない。うまく、いえない」
微風で前髪が揺れる。
平静を装ってるだけで、昨日からずっと落ち着かない。
心臓とか忙しないわけじゃないし、手が震えてるわけじゃない。
でも、そわそわとどこか落ち着かない。
今にも崩れそうで、ぐらぐらする......。
「......んか」
「え? 何かいった?」
「いえ、何も」
確かに何か言ったはずなのに、
顔を覗くように聞き返せば、そっぽ向かれた。
何故?
そう思ったが、あ、と気づく。
私......蛍君に
そして、返事をしていないことを。
ていうか、返事も何も好意につけこんで甘えてた。
うわー......最低じゃね?
ないわー、私ないわー!!!
「あ、A! 悪いそろそろ」
「すみませんっ、今いきます!
蛍君、手抜き現金だよ。ちゃんと走ってね」
「......はい」
「こらこら間」
真赭さんに呼ばれ、戻る前に蛍君に釘を指せば
嫌そうな顔と嫌そうな声が返ってきた。わかりやすい。
それに苦笑しながら、体育館に一歩踏み入れ、止まる。
なんとなく振り返る、と......。
「っ......」
木陰の下でこちらを見る“孝先輩”。
暗くてどんな表情をしているのかわからない。
けど、“私”を見てるのはわかる。
わかる、から......。
「あっ、つい......」
頬に手をあてながら、駆け足で中へ入る。
暑い。暑い。暑い。
沸騰する。
爆発する。
溢れる......“
でも、認めたくないっ。
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星蛍(プロフ) - nasiremonさん» めちゃくちゃ嬉しいコメントをありがとうございます!! 頑張ります!! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon(プロフ) - 作品を拝見させていただきありがとうございました!オリキャラたちの人間関係かハイキューキャラとすごい(語彙力)感じに絡んでいてもう、、、本当にすごいです!!!過去篇では涙目になっちゃったし、こう先輩がっっ………!!!更新頑張ってください! (2020年11月22日 2時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 空良さん» ありがとうございます!最近サボりがちだったので面目ないです(_ _;)今月はガンガンこちらを更新しますよ! (2016年7月2日 7時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
空良(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しく読ませていただいています♪更新お待ちしています(*´∀`) (2016年7月1日 23時) (レス) id: a94687914e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2016年7月1日 21時