＊316話「“負け”の現実」向日side ページ48
固唾を飲む周り。
早乙女はしばらく呆然としていたが、
我に返るなり、キッとこちらを見た。
その肝の据わった目に大したもんだな、と思いながら受け止める。
「な、何すんのよ！！」
「ずいぶん感情的になってたようだから、とめた」
物理的だがな、と黒尾の焦った声が聞こえたが無視。
すぅっと目を細め、真下にある顔を見る。
彼女はぐっと唇を噛む。
ああ、わかってる顔だ。
わかっていて、“わからない”顔。
「一時の感情で全部を捨てる気か？」
「っ！！」
ふい、と後ろの連中に目をやれば、
不満をありありとかかれた顔の数々。
早乙女も振り向き、悔しそうに下唇を噛んで俯いた。
「はあ、あのな」
「私は悪くないわよ！！」
被せてまで叫ばれた言葉。
ギラギラとした目をこちら、私の後ろにいる“A”に向けて言う。
「あんな“小物”に私が劣るわけないの！！
私は“天才”なのよ？！ あんな凡人に」
「“負けた”んだよ」
「っ......」
ひゅっとする早乙女に、容赦なく言葉をかける。
「みっともない言いがかりはやめろ。余計惨めになるだけだ」
「......っ」
「どんなに喚いても避難しても“負けた”事実は変わんないんだよ」
受け入れられない現実。
体を震わす彼女に数個しか違わないのに、若いなと思った。
そして、“懐かしいな”とも......。
「誰か一人に責任を押し付けれるほど“バレー”は単純なスポーツじゃないんだよ。
なんのためにコートに6人いると思ってんだ。全員で“繋ぐ”ためだ。誰か一人のせいじゃないんだよ」
“天才”がいるから勝てるんじゃない。
天才がいないから負けるんじゃない。
１つでも多く繋いだ方が勝つんだ。
＊317話「二人の憧れ」向日side→←＊315話「なんでっ......」早乙女side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 215人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» ありがとうございます！ (2020年1月6日 11時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - いえいえ！更新頑張ってください！ (2020年1月6日 5時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 美玲さん» 代わりにありがとうございました！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 沙綾さん» 返信遅れてすみません！！美玲さんの言うとおり、縁下くんです！ (2020年1月5日 21時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
美玲(プロフ) - 沙綾さん、多分それ縁下力くんの事だと思います！もし違ってたらすみません(><) (2019年11月30日 17時) (レス) id: 405180babc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星蛍 | 作成日時：2016年2月28日 20時
