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*271話「ほんわか」 ページ49

「A、顔あげて」


下げた時間は数秒。
すぐにあげるよう言われて、顔をあげれば

ヒュンッ

という音がして驚きで肩が跳ねた。

だが......。


「ん。」

「......ん?」


何故か満足げに出された左手(・・)

それがよくわからず顔をかしげるが、
ん! ともう一度言われてやっと理解する。

自信の左手を出した瞬間、
こちらが握るより早く手をとられる。


「“仲直り”!」

「......ふふっ」


まるで子供みたいな、小学生みたいな“仲直り”。

思わず笑いがこぼれる。
でも、結良も満面の笑みだった。


ほんわかな空気が流れたそのとき、


「あんたも謝れ」

「あだっ!!」


パシーンッと良い音が鳴った。

誰か、なんて聞かなくてもわかりきっている。


「何しやがる、“叶羽”っ」


結良の後ろからひょっこり現れた叶羽。

そして、私を見てにっこり笑う。
その笑みに私も微笑みで返す。


「“おかえり”」

「っ“ただいま”」


暖かい場所。
陽だまりの場所。

闇を払ってくれる......場所。


叶羽に頼んでゴムをもらったとき、
おずおずと前に出てきた後輩が一人。


「あ、あの、A先輩」

「潤......?」


今にも泣きそうに震えている彼女。
私の代わりに“セッター”として出ていてくれた彼女。

何かに怯えるように。何かを恐れるように。
体を震わす彼女を見てわかった。

なんとなく、本当になんとなく言われることがわかった......。


「すみま」

「潤」


ぽんっと肩に手を置く。
瞬間跳ねる肩だが、彼女は恐る恐る顔をあげた。

涙に濡れた頬を人差し指の爪で軽く滑らせる。

“____”が私にやってくれたように。
安心させるように。


「“大丈夫”」

「っ......」

「“頑張ろう”」


“一緒に”


そう言えば、潤は涙を流しながらコクコク頷いた。



その姿を見て、気づかれない程度にほっと息をつく。

次いでポンポンと肘を叩かれ、振り向けば、


「はい」

「......」


叶羽から背番号“2”のユニフォームと、
“雪の結晶のネックレス”を差し出された。

*272話「ネックレス」影山side→←*270話「おあいこ」



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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時

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