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*255話「叫び」 ページ33

こちらを悲しそうに睨む結良。
叩かれたのだと理解して、私も睨み返す。


「何するの」

「それはこっちのセリフだ、ばかっ!」


今にも泣きそうな癖に、
こちらを見て離さんとする強い瞳。

逃げたくなるその瞳にたじろぐ。


「お前は素直にあいつの言うとおりにやれば、
あいつが静かに引き下がると思ってるのかっ?」


思わないよ、絶対にそれで済まない。


「お前はこんな屈辱なことさせられて平気なのかっ?」


平気じゃない。
でも......これしかない。


何も言えずに目をそらす私の胸ぐらを掴み、
結良は無理矢理視線を合わせた。


「いい加減、わかれよ!!
お前一人の問題じゃないんだ!!」


その言葉に抑えていたものが切れる。


「じゃあ、他にどうしろっていうのっ?」


胸ぐらを掴んでいた腕を力ずくで離し、
キッと睨み付けながら叫ぶ。


「誰も助けてくれなかったっ!!
誰も見方になってくれなかったっ!!」


先生ですら見て見ぬふりの状況。


「敵わなかったっ!!
全く敵わなかったっ!!」


私が必死になって、もがいて、あがいた年月を、
簡単に覆した。覆された。


「あんただって傷ついたっ!!
みんな傷ついたっ!!」


守りたかった。
後輩たちを。“あんた”を。

でも、何もできなかった。
惨めに這いつくばって見上げるだけ。

もがいても、あがいても、
“どうにもならなかった”......。



はあはあ、と肩で息をする私。

感情が突破して頭がぐちゃぐちゃだ。
気のせいか視界も滲んで、熱いものが込み上げる。

また、顔を伏せた私の両頬に優しい手が添えられる。
そのまま勢い良く上を向かされた。


「お前だって“傷”ついてんじゃん」

「っ......」


苦しげに歪められた瞳に、
情けない顔をした自分が写った......。


ほんと......情けない。

*256話「仲間だから」→←*254話「もう、、、」



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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時

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