＊159話「母のようなぬくもり」 ページ27
あー、懐かしい……。
くしゃくしゃと掻き回すように撫でる手。
安心から、今の状況を忘れかける。
「ま、真赭さん？」
「お前は背負いすぎなんだよ。あと、考え過ぎ」
その言葉に、ああ、この人は
知った上で
さっきまでとても嫌のことを考えていた自分が恥ずかしい。
今朝泣いたばかりなのに、また泣きそうになる……。
それにも、やっぱり気づいた真赭さんは、
今度は思いっきり抱きしめてくれた。
こんなことを本人に言ったら怒られそうだが、
まるで、親が子供を抱きしめるように……。
だからだろうか。
この腕に、このぬくもりに、
酷く安心を覚える。
今朝慰めてくれた彼とはまた違う、安心感。
私はそっと先輩の半そでの裾を控えめに掴み、そして……。
「叩いてごめんなさい」
「ん。大丈夫だから」
どこまでも優しい彼女に、涙が頬を伝った。
今度は我慢しなかった……。
「まーそ、ほ……」
恐らく呼びに来たのだろう。
真赭さんから離れて、声のした方を見ると固まっている黒尾さんがいた。
「あー、お邪魔しま」
「黒尾KY、最低、トサカ」
「すみませんでした」
見なかった体を装うとした黒尾さんは、
あっさり真赭さんに捕まった。
はあと大きくため息を吐く真赭さんに対して、
本当に申し訳なさそうに頬をかく黒尾さん。
この二人……仲いいのかな？
なんてどうでもいいことを考えていると、
体育館の方で私の名前を呼ぶ声がした。たぶん、田中。
「なんか呼ばれているっぽいので、いきますね」
「え、いっちゃうの？！」「あー、また後でな」
作ったドリンクを持って言えば、
何故か焦っている黒尾さんと、爽やかな笑みを浮かべる真赭さん。
被った言葉だが、しっかり聞こえた「また後で」に少し驚く。
でも、すぐに笑って頷いた。
そのやり取りを見て、めちゃくちゃ驚いている黒尾さん。
不思議に思ったが、今は相手にしていられないので放置して体育館へ入った。
−−−−−−−−−−
(仲直りしたのか……？)
(うっせ)
(よかったな)
(だから、うるさいっての！！)
＊160話「ありがた半分、不安半分」→←＊158話「気まずい……」
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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます！ (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名？で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか？ 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません！！変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか？ (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません！！ ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます！ (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2015年10月14日 20時
